自然吸気5.0という選択に、いま12,000,000円を払う理由がある。レクサス IS500クライマックスエディションは、静かに時代へ抗う一台だ。

レクサス IS500クライマックスエディション|なぜ今、この選択なのか
レクサス IS500クライマックスエディションは、BMW M3コンペティションやアウディRS5と同じ土俵で語られることが多い。だが両者はすでに直列6気筒やV6ツインターボへ移行し、排気音の一部は電子的に補正されている。対してこの車は4,960ccのV8を自然吸気のまま積む。ライバルが効率と数値を積み上げる一方、この車は回転数と体感の一致だけを求めた設計だ。0-100km/h加速だけを見ればライバルに劣る場面もあるだろう。しかし数字で測れない部分に、この車を選ぶ理由がある。走行1,500kmという個体は、その選択の重みをそのまま体現している。
ターボ勢との温度差
ターボ車の速さは、アクセルを踏んだ瞬間の過給圧という「準備」に支えられている。M3もRS5も優秀だが、その速さはどこか計算的だ。対してV8自然吸気は、回転数が上がるほど音と力が正直に比例していく。7,100rpmまで淀みなく伸びるフィーリングは、もう新車では味わえない部類に入る。ライバルたちが軽量化と電動化を急ぐ中、この車だけが「昔ながらの正直さ」を選んだ。燃費や環境性能では明確に分が悪い。だが12,000,000円という価格は、その正直さへの対価だと考えれば筋が通る。効率で買う車ではなく、納得で買う車である。
黒い塊が持つ緊張感
外装ブラックのボディは、4760×1840×1430mmという寸法をより締まって見せる。スピンドルグリルはライバル勢の顔つきに比べて主張が強く、好みが分かれる部分だ。しかし内装に座ると、その主張は一転して静かになる。センターディスプレイは操作系がシンプルで、装飾に頼らず素材の質感だけで見せてくる。M3の内装がデジタル演出に寄り、RS5がスポーティさを前面に出すのに対し、この車内は妙に落ち着いている。走行1,500kmのステアリングにはまだ癖がなく、これから所有者の手に馴染んでいく段階だ。派手な外見と静かな内装、そのギャップこそがこの車の個性である。
維持する覚悟という情の部分
V8自然吸気を維持するコストは、正直に言って軽くはない。燃費はライバルの半分程度と見ておいた方がいい。また将来的な部品供給も、電動化が進む中でどこまで続くか読みにくい。ここで理屈だけを追えば、ターボ勢を選ぶ方が合理的だ。しかし所有者が求めているのは合理性ではなく、この排気量とこの音がもう新規開発されないという事実そのものだ。1,500kmしか走っていない個体を今選ぶことは、将来の後悔を先に消しておく行為に近い。維持費は情熱の税金だと割り切れる人だけが、この車の前に立つ資格を持つ。
12,000,000円という判断の重さ
価格だけを比較すれば、M3コンペティションもRS5も同程度かそれ以上のレンジに入る。つまりこの車は価格競争力で選ばれているわけではない。走行1,500kmという状態、そして自然吸気V8という設計思想への対価として、この金額が成立している。ライバル車を選ぶ人は最新技術と数値上の速さを求めているのだろう。だがこの車を選ぶ人は、数値では説明しきれない何かを求めている。京都という土地でこの一台を見つけたなら、それは偶然ではなく必然に近い。合理と情、どちらを優先するかで答えは自然に決まる。
レクサス IS500クライマックスエディション スペック・仕様
| メーカー | レクサス |
|---|---|
| グレード | IS500クライマックスエディション |
| 年式 | 2025 |
| 走行距離 | 1,500 km |
| 外装色 | ガンメタリック |
| ハンドル | 右 |
| 排気量 | 4,960 cc |
| 燃料 | ガソリン |
| 車両重量 | 1,720 kg |
| 車検 | 2028年11月 |
| 修復歴 | なし |