

白いボディに黒を差す、光の設計図
Gクラスは1979年、軍用・業務用車両として生まれた。目的地へ確実に辿り着くための道具であり、いまなお伝統のラダーフレームと3つのデフロックを頑なに守っている。その質実剛健な素性に、極上のラグジュアリーが載った。今回のG400d AMGライン仕様は、その二面性を持つ一台である。 FOUROSIDEではGクラスの中古車販売に関して、パッケージングしたカスタムを数度行っている。今回も仕入れから検査と整備、カスタム内容の決定までの流れはスムーズであり、経験の積み重ねが現場作業のレスポンスの良さに繋がっていることを強く感じた。しかし慣れたものだからといって手は一切抜かない。車両の状態を見極める目はみな匠のそれであった。オパリスホワイトは光を柔らかく返す色である。そこへ黒を差すと、白は一段と立つ。だが、黒が強すぎれば車体は重く沈む。目指したのは、遠目には静かで、近づくほどに深みが滲む佇まいである。 施工は次の内容で進めた。- ヘッドライト:フェニックスキャンディ(スモーク)
- テールライト、ウィンカー、ドアミラーウィンカー:スモーク
- 前後バンパーのメッキ部、前後エンブレム:キャンディ
- フロントグリル:マットブラック、グロスブラック、キャンディ
- ホイール:グロスブラック

外した部品が語る、分解と再構築の手順
作業は仕入れ後、実車の確認から始めた。車両の状態を把握したうえで、フロントグリル、ヘッドライト、テールライト、ウィンカーレンズを丁寧に脱着する。ボディに付けたまま塗れば、境目に必ず逃げが出る。外してこそ、縁の奥まで均一な膜が回る。取り外したパーツは並べて眺めるだけでも、仕上がりの輪郭が見えてくる。 フロントグリルはさらに分解した。マットブラック、グロスブラック、キャンディという三つの質感を、一枚の面の中で隣り合わせにするためである。艶のある面と艶のない面が同居すると、光が当たった瞬間に表情が分かれる。指でなぞれば、マットは吸い付くようにさらりとし、グロスは抵抗なく滑る。その差が、顔つきの奥行きになる。 ホイールを外した際には、キャリパーの清掃を欠かさず行った。塗装の仕上がりとは直接関係しない工程であり、見る人も少ない。それでも、黒いホイールの奥に汚れたキャリパーが覗けば、せっかくの艶は台無しになる。見えない場所の清潔さが、見える部分の説得力を支えている。
キャンディとスモークの加減が、この車の気配を決める
今回の最大の難所は、キャンディとスモークの濃度の見極めだった。ボディ色に合う色味を探る作業は、些細に見えて、完成した車両全体の雰囲気を大きく左右する。濃ければ重く、薄ければ物足りない。長年の経験を頼りに、現物を光の下で何度も確かめながら、ベストを尽くして調整した。 フェニックスキャンディのヘッドライトは、正面から見たとき、目元にかすかな深みを宿す。メッキ部のキャンディは、陽の角度で色の奥が揺れる。スモークを重ねたテールとウィンカーは、点灯していない時間にこそ品が出る。どれも主張しすぎず、しかし通り過ぎた後に記憶へ残る程度の濃さに収めている。 搭載されるのは330PS、700Nmを発揮する3.0L直列6気筒ディーゼルターボである。低回転から大柄な車体を滑らかに押し出すこの車には、静かな力強さが似合う。仕上がった外観は、その性格をそのまま映している。白い鉄塊に黒と艶を重ねたメルセデス・ベンツ G400dは、40年変わらぬ四角いシルエットを守りながら、新しい表情を手にした。 こちらのGクラスは販売中だが、在庫には限りがある。迷いなき選択のために是非、京都・上賀茂のFOUROSIDEで実車をご覧いただきたい。









