メルセデス・ベンツ Aクラス 12ヶ月点検・足回り整備 ― 11年目に差しかかる足元の軌跡

zone:front_bumper|京都
2015年登録のメルセデス・ベンツ Aクラスが、上賀茂の工房に持ち込まれた。走り続けた11年という歳月は、オイルの粘度にもタイヤの溝にも静かに刻まれていた。
メルセデス・ベンツ|整備|京都

3代目という選択が物語る足どり

この個体は2012年に登場した3代目、日本導入は2013年という節目のモデルである。初代・2代目の背高ボディを捨て、低くスポーティなFFハッチバックへと生まれ変わった世代だ。1.6L直4直噴ターボは約122ps、7速DCTが組み合わされ、走りの軽快さを求めたオーナーの好みが選択からうかがえる。メルセデス・ベンツ Aクラスとしては攻めた設計だが、その分だけ機構は繊細で、整備の丁寧さが問われる車でもある。 2015年のマイナーチェンジで内外装とインフォテインメントが刷新されており、本車両はその境目に近い登録時期だ。丸型のエアコン吹き出し口に代表されるデザイン性の高い内装は健在で、COLLISION PREVENTION ASSIST(衝突被害軽減ブレーキ)やアイドリングストップといった当時としては先進的な装備も、今なお違和感なく機能していた。
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記録簿が語るオイル交換の履歴

中古車として評価する際、最も重視すべきは整備記録、とりわけオイル交換の履歴である。この車両は幸いにも記録が追えたため、エンジンオイルにはFUCHS GT1 FLEX3 SAE 5W-40を選定した。オイルフィルターとドレンガスケットも同時交換し、DCT特有の低速域での変速ショックを多少なりとも和らげる狙いもある。ブレーキオイルも規定の周期を踏まえて交換し、制動系の安心感を取り戻した。 エアコンフィルターは目視の時点で汚れが明らかだったため、交換を提案した。エアフィルターも含めて空気の通り道を整えることは、ターボエンジンの応答性にも静かに効いてくる。小さな部品の積み重ねが、Aクラスという車の本来の軽快さを取り戻す鍵になる。
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フロントタイヤが示していた摩耗のサイン

最後に手をつけたのがフロントタイヤである。装着したのはブリヂストン ポテンザS001の225/40R18、純正に近い性格のハイグリップタイヤだ。バルブも同時交換し、廃タイヤの処分まで含めて一台分の足元を整えた。前後のワイパーも交換し、視界という最も基本的な安全性能を見直している。 後席と荷室の広さには限界があるこの世代のAクラスだが、走りの質感を楽しむための一台として選ばれた形跡が随所にあった。法定12か月点検を通過したこの個体は、オーナーの手にまた静かに戻っていく。メルセデス・ベンツ Aクラスという選択の重みを、整備の現場で改めて感じた一台だった。
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