

プレスラインが突きつける一枚ごとの判断
アウディ Q5スポーツバックは、SUVの力強さとクーペの流麗さを一台に同居させたモデルである。そのぶんボディには大きな面とシャープなキャラクターラインが隣り合い、同じ力加減では仕上がらない。大きな面は均一な艶を求められ、プレスラインやエッジは一歩間違えば輪郭がぼやける。磨きは一枚の面を漫然と撫でる作業ではなく、パネルごとに判断を切り替える仕事だと、現場に立つたびに思い知らされる。 特にフロントフェイスはワイド感を強調する造形で、面の起伏が緩やかに変化していく。ここを均一に見せるには、光の映り込みを頼りに磨きムラを探すしかない。角度を変えては覗き込み、艶の途切れる境目を指先と目で拾っていく。地味な作業の積み重ねが、仕上がりの説得力を決めることになる。
艶を測るのは数値ではなく映り込みだった
今回の磨き作業一式では、パネルごとに塗装面の状態を確認しながら仕上げる工程を徹底した。基準にしたのは測定器の数値ではなく、光の映り込みである。空や蛍光灯の輪郭がどれだけ鋭く映るか、歪まずに流れるかを見極めながら、研磨の角度と圧を微調整していった。エッジ部分は特に慎重を要する箇所で、磨きすぎれば塗膜を痛め、不足すれば艶が面と不連続になる。その境界線を一枚ずつ探る作業こそが、この施工の実質的な核心だった。 磨きで下地を整えた後に選んだのが、FEYNLAB Ceramic Ver.3によるコーティング再施工である。塗装本来の透明感を引き出した状態でコーティングを重ねることで、艶に深みと持続力を与える狙いがあった。磨きとコーティングは別工程ではなく、一続きの仕事として設計している。
流れるボディラインがシャープに見える瞬間
仕上がったQ5を離れて眺めると、キャラクターラインが光を受けて一本の筋のように通っている。磨きで艶と透明感を引き出し、コーティングでその表情を定着させたことで、流れるようなボディラインが輪郭として際立って見える。力強さと流麗さという、このモデルが本来持つ二面性が、より明快な形で浮かび上がった仕上がりである。 難所だったプレスラインやエッジも、面との境目を感じさせない仕上がりに収まっている。一台のQ5に向き合う中で、パネルごとに判断を重ねた時間そのものが、この艶の奥行きに詰まっている。




