オープンエアを愉しむ車ほど、幌と内装は静かに消耗していく。アストンマーティン DB11 ヴォランテの二つの素材を守った一台の記録から、同じ悩みを抱えるオーナーへ参考を残したい。
天井が開く車の宿命──幌と内装に起きる静かな変化
DB11 ヴォランテは、流麗なボディラインと上質なインテリアを併せ持つ英国のオープンモデルだ。その魅力の源である「開ける」という行為が、素材には負担となる。
幌は雨、紫外線、鳥の落とし物など、自然の恵みにさらされ続ける。開閉で折り畳まれる部分には、生地の癖や擦れも生じる。ボディの艶には気を配っても、頭上の幌は後回しになりがちだ。
室内も同じである。オープン走行では陽光が直接シートに降り注ぎ、乗り降りのたびに衣服や手が触れる。上質な素材ほど、風合いの変化が目に付きやすい。
素材ごとに向き合う──幌とシート&トリムの施工
今回の施工では、幌コーティングとインテリアコーティングの二つを軸に据えた。難所は、素材ごとに性質が異なる点にある。同じ手順を機械的に当てはめることはしない。
幌は、施工前の状態を入念に確認することから始めた。汚れや生地の状態を見極めたうえで、素材の特性に配慮しながら丁寧に処理する。コーティングは下地が整って初めて意味を持つ。
インテリアはシートとトリムを対象に、5席すべてへ施工した。各部の素材に合わせ、質感や風合いを損なわないよう細心の注意を払った。守るための施工が、見た目や手触りを変えてしまっては本末転倒である。
あわせて、ボディにはceramicULTRAコーティングを施工した。外装、幌、室内を一続きの保護として仕上げる考え方だ。
納車前に整えた足元──同じ悩みを持つオーナーへ
この車両は納車前整備として、消耗品の交換も行った。内容は次のとおりである。
- バッテリー交換
- ワイパーブレード交換
- エアコンフィルター交換
- アストンマーティン純正充電器の用意
- ETCセットアップ
とくにバッテリーは、乗る頻度が限られる車ほど弱りやすい。純正充電器を備えておけば、保管中の不安を和らげられる。コーティングと整備は別物に見えて、愛車を長く良い状態に保つという目的は同じである。
幌や内装の劣化に悩むオーナーに伝えたいのは、傷みが目立ってから動くより、状態の良いうちに守る方が選択肢は広いということだ。アストンマーティン DB11 ヴォランテのような一台ならなおさらである。気になり始めた時点が、点検を考える好機だろう。