納車後からほどなくして、フォルクスワーゲン アルテオンが車検整備のために上賀茂へ戻ってきた。現オーナーの穏やかな使い方に対して、誠意をもって交換すべき部品の提案をさせていただいた。
2020年3月に生まれた一台の、来歴を読む
この個体は2020年3月に初年度登録を受けた。パイライトシルバーメタリックの落ち着いた装いに、Rラインの精悍な造形をまとった一台である。ボディは五年を経てなお端正で、ガレージに収まる姿からは大切に扱われてきた気配が伝わってくる。
前オーナーは遠出よりも日常の足として走らせていたようだ。街乗り中心の使い方は、エンジンが十分に温まる前に停止を繰り返しがちで、オイルとバッテリーに静かな負担をかける。派手な傷みは出ないが、確実に疲れが溜まっていく。今回の整備は、その見えにくい疲れを一つずつ拾い上げる作業だった。
車検を控えた入庫は、いわば車の健康診断である。アルテオンのような上質な欧州セダンほど、数字に出ない部分の手当てが乗り味を左右する。
残量4.0mmのリアブレーキパッドと、手を入れた消耗品たち
点検で最初に目を引いたのは、リアブレーキパッドの残量である。計測値は
4.0mm。まだ走れる数字ではあるが、四輪駆動の4モーションで重量級のボディを止める車にとって、次の車検まで持たせるには心もとない。迷わず交換を決めた。
あわせて、エンジンオイルとフィルターを交換した。オイルは
FUCHS GT1 FLEX3 5W-40を選んでいる。短距離走行が多かった履歴を踏まえ、熱と剪断に強く、油膜が安定する銘柄で締めくくる判断である。
バッテリー、エアコンフィルター、ワイパーブレードも一括で新品に改めた。いずれも走行距離よりも経過年数で劣化する部品であり、五年目の節目に揃えて替えるのが理にかなう。今回の消耗品交換は次の通りだ。
- エンジンオイル&フィルター交換
- リアブレーキパッド交換(残量4.0mm)
- バッテリー交換
- エアコンフィルター交換
- ワイパーブレード交換
点検では、パンク修理キットの欠品も見つかった。前オーナーの手元から抜け落ちていたのだろう。万一の備えは目立たないが、長距離を走る車ほど欠かせない装備である。
外観と足元まで整え、次の五年へ送り出す

機関系の整備と並行して、見た目と日常の使い勝手にも手を入れた。左前ホイールのリペアを行い、サマータイヤはダンロップの新品に履き替えている。足元が引き締まると、車全体の印象まで変わるものだ。
ボディにはFEYNLAB CERAMIC Ver.3コーテイングを施工した。パイライトシルバーメタリックの繊細な粒子感は、下地が整うほど深みを増す。さらにETCセットアップを済ませ、乗り出したその日から高速道路を使える状態に仕上げている。
消耗した部品を替え、欠けた備えを補い、外装を磨き込む。フォルクスワーゲン アルテオンは、前オーナーが丁寧に走らせた五年間の蓄積の上に、新しい部品の確かな手応えを重ねた。次の持ち主が走らせる最初の一年は、きっと静かで力強いものになる。