すでに塗装されたキャリパーへ、さらに手を入れる。レクサス RC200tのキャリパーペイントは、その難しさと向き合う仕事になった。
塗膜の上に塗膜を重ねる緊張
今回のレクサス RC200tは、キャリパーがすでに塗装された状態で入庫した。まっさらな地肌に塗るのとは訳が違う。既存の塗膜との相性を見極めなければ、密着不良や仕上がりのムラにつながる。作業前の下地確認だけで、通常より多くの時間を割いた。
今回選ばれたのはストラクチュラルブルー。既に塗られている面に色を重ねる以上、剥離の判断ひとつが仕上がりを左右する。剥がすべきか、活かすべきか。その見極めにこそ、経験がものを言う。
「いつも以上に慎重に作業した」という一言に、この日の緊張感が凝縮されている。焦って進めれば楽な作業ほど、あとで浮きや剥がれとなって牙を剥く。急がば回れを地で行く工程だった。
伸びやかなハンドリングを支えるブレーキ周りの刷新
レクサス RC200tは2.0L 直噴ターボエンジンとFRレイアウトを持ち、高回転域まで力強く伸びる加速が持ち味だ。カーボンパーツによる軽量化と高剛性ボディが、サーキットから日常までを一台でこなす懐の深さを支えている。だからこそ、それを止める側にも妥協はできない。
今回はお客様持ち込みのブレーキホースをメッシュ化した。剛性の高いラインに交換することで、ペダルタッチはよりダイレクトになる。塗装済みキャリパーへの負荷を避けながらの脱着は、通常以上に神経を使う工程だった。
塗った後の一手が仕上がりを決める
塗装を終えたキャリパーには、必ずコーティングを施す。RCシリーズのような高性能クーペは、走行中の熱やブレーキダストに晒される機会が多い。塗りっぱなしでは早々に艶を失う。
- キャリパーペイント(ストラクチュラルブルー)
- ブレーキホース交換(持ち込み・メッシュ化)
- キャリパーコーティング
- ステッカー・マイナーパーツ
塗って終わりにしない、というこだわりがコーティングという一手に表れている。既存塗膜との対話から始まった今回の作業は、最後まで手を抜かない姿勢で締めくくられた。
レクサス RC200tは、静かに輝きを取り戻して上賀茂の空の下へ戻っていった。