フォルクスワーゲン アルテオン TSI_4モーションRラインアドバンス。フォルクスワーゲンアルテオンTSI_4モーションRラインアドバンスは、内燃機関の完成形を静かに提示する一台である。電動化の波が押し寄せる今、これを最後の選択肢と見る向きも多い。

フォルクスワーゲン アルテオン TSI_4モーションRラインアドバンス|4ドアクーペという矛盾の美学
フォルクスワーゲン アルテオン TSI_4モーションRラインアドバンスは、フォルクスワーゲンアルテオンTSI_4モーションRラインアドバンスは、そもそも存在自体が矛盾を抱えたモデルである。4ドアセダンの実用性とクーペのシルエットを両立させるという発想は、電動化前夜のドイツ勢が最後にたどり着いた美意識だった。全長4862mm、それでいてルーフラインは滑らかに沈む。パイライトシルバーメタリックの外装は、この曲面の抑揚を最も誠実に見せる色だと言える。内装はRラインアドバンス専用の造りで、ステッチの効いたスポーツシートが座面を締め上げる。しかし派手さはない。むしろ機能が先にあり、装飾は後からついてきた印象を受ける。EVには生まれ得ない、ボディ剛性と燃焼機関の重さを前提にした設計思想がここにある。
2.0リッターでも十分だと言い切る理由
2.0リッターターボに4モーションの四輪駆動を組み合わせたこの構成は、今となっては贅沢な組み合わせに見える。エンジン単体の排気量は控えめだが、190kW前後の出力は市街地から高速まで不足を感じさせない。また4モーションは滑りやすい路面でも姿勢を乱さず、雨の京都の石畳でも安心して踏み込める。しかし電動化が進む中で、こうした「ちょうど良い過剰」を持つ内燃機関車は年々数を減らしている。EVのモーターが生む即応性とは異なり、ターボラグを含めた加速の間こそがこの車の呼吸である。効率だけを追えばこの構成は無駄が多い。だが無駄の中にこそ、運転する楽しさが息づいている。
35,000kmという走行距離が語る温度
35,000kmという走行距離は、4年という年式を考えれば決して短くはないが、乗り込まれた形跡としては健全な数字である。長距離を淡々と走ってきた個体特有の、機構全体が均一にこなれた感触がある。また新車から今までの間に、フォルクスワーゲンはすでにID.シリーズへと軸足を移し始めていた。つまりこの車は、内燃機関開発の余力がまだ十分にあった時期の最後の産物とも言える。今後同じ排気量、同じ駆動方式で後継モデルが出る可能性は低い。3,300,000円という価格は、その事実を踏まえれば決して高い買い物ではない。数字が積み重ねた距離の分だけ、この車の完成度は磨かれてきたと考えるべきだろう。
Rラインアドバンスという最後の贅沢
Rラインアドバンスというグレード名は、単なる見た目のスポーティさを指すものではない。専用エアロやホイール、内装トリムに至るまで、内燃機関を前提に設計を煮詰めた最終形と言ってよい。しかし今後、こうした専用グレードが内燃機関のまま追加される可能性は限りなく低い。フォルクスワーゲンの開発リソースは電動化に集中しており、ガソリン車のための特別仕立てはもはや稀少な選択になっている。つまりこのグレードそのものが、時代の節目を体現する存在だと言える。派手な主張はしないが、細部にコストをかけた形跡は座席に触れた瞬間にわかる。装飾のための装飾ではなく、機能の延長としての贅沢である。
京都という街で乗る、という選択
京都という街でこの車を選ぶ理由は、単純な性能の話だけでは説明がつかない。細い路地と観光地の渋滑を往復する日常において、4モーションの安定感は思いのほか実用的である。また京都には歴史的建造物と現代的な建築が隣り合う独特の景観があり、パイライトシルバーの外装はその両方に馴染む色だと感じる。しかし電動化が進めば、こうした内燃機関特有の質感を持つ車を街で見かける機会は確実に減っていく。今この個体を選ぶことは、単なる購入ではなく、ある時代の終わりに立ち会う行為に近い。派手に飾らず、ただ淡々と走り続けてきたこの一台が、静かにその役目を担っている。
フォルクスワーゲン アルテオン TSI_4モーションRラインアドバンス スペック・仕様
| メーカー | フォルクスワーゲン |
|---|---|
| グレード | アルテオン TSI_4モーションRラインアドバンス |
| 年式 | 2020 |
| 走行距離 | 35,000 km |
| 外装色 | パイライトシルバーメタリック |
| ハンドル | 右 |
| 燃料 | ガソリン |
| 車検 | 2027年3月 |
| 修復歴 | なし |