京都の細い通りと四条大橋の渋滞、その両方に涼しい顔で応えるのがメルセデス・ベンツ CLS220dスポーツエクスクルーシブパッケージである。走行14,000kmという数字が、この個体の本音を静かに語っている。

メルセデス・ベンツ CLS220dスポーツエクスクルーシブパッケージ|曇天が似合う灰色という発明
メルセデス・ベンツ CLS220dスポーツエクスクルーシブパッケージのセレナイトグレーマグノは、晴天よりも曇りの京都でこそ本領を発揮する。マグノ特有のマットな質感は、鴨川沿いの鈍色の空気に溶け込み、光沢のある黒よりも街に馴染む。一方で内装は打って変わって、ナッパレザーとピアノブラックの対比が効いている。5000mmの全長を感じさせない着座感は、寺町通の石畳を走っても揺らがない。京都の冬は湿った灰色の日が半年近く続くというが、この色を選んだ個体はむしろその季節にこそ輝く。派手さで語らない車が、実は一番記憶に残るという事実がここにある。
哲学の道より狭い道の話
京都の道は、観光地の写真より実際は狭い。哲学の道の脇道などは車幅1890mmでも息を止める瞬間がある。しかし、このCLSは4灯式のミラーと低いボンネットのおかげで、車両感覚が驚くほど掴みやすい。全長5000mmという数字だけ見れば身構える人もいるだろうが、実際にハンドルを握ると、京都特有の一方通行や桝目状の道での取り回しは思いのほか素直である。また、1420mmという車高の低さが、狭い路地でのすれ違いに心理的な余裕を生んでいる。大きな車は不便という思い込みは、この一台に乗れば崩れる。
嵐山の渋滞列で差がつく静けさ
紅葉シーズンの嵐山、渡月橋周辺の渋滞は年々長くなっていると地元では言われている。そこで差が出るのが、ディーゼルエンジンの持つ低回転域の粘りである。1,940ccという排気量は数字上は控えめだが、トルクの出方は渋滞路でこそ真価を発揮する。信号待ちからのじわりとした発進、ノロノロ運転でのアクセル操作の正確さは、ガソリン車にはない落ち着きがある。しかし燃費の良さだけがディーゼルの美点ではない。エンジン音の静けさが、観光客のざわめきをむしろ引き立てる余白を車内に作っている。渋滞は苦痛ではなく、この車では移動時間の一部に変わる。
祇園から北山、季節の橋渡し役
京都は東西南北で表情がまったく違う街だ。祇園の花街の路地から、北山の緑深い一帯まで、車で30分もかからず移動できる。このCLSスポーツエクスクルーシブパッケージは、その振れ幅の大きさに黙って対応する懐の深さを持つ。夜の祇園では控えめな存在感で溶け込み、昼の北山では自然光の中でボディラインの美しさを主張する。一方で、内装のスポーツシートは長距離移動でも疲労を溜めにくい設計だ。京都は観光地であると同時に、日常の生活道路でもある。その両立を求められる街で、この一台は違和感なく機能する。
6年落ちが持つ、静かな説得力
2021年式で走行14,000kmという数字は、年間わずか2,300km程度しか走っていない計算になる。京都という街では、車を持っていても週末しか乗らない層が一定数いるという事実がこの数字に表れている。価格は630万円、状態を考えれば決して高い買い物ではない。しかし中古車という言葉に抵抗がある人ほど、この個体の走行距離と経過年数のバランスを見てほしい。新車で買うには勇気がいる価格帯の車が、ここでは現実的な選択肢になっている。京都の車好きが本音で選ぶなら、こういう個体を選ぶはずだ。
メルセデス・ベンツ CLS220dスポーツエクスクルーシブパッケージ スペック・仕様
| メーカー | メルセデス・ベンツ |
|---|---|
| グレード | CLS220dスポーツエクスクルーシブパッケージ |
| 年式 | 2021 |
| 走行距離 | 14,000 km |
| 外装色 | セレナイトグレーマグノ |
| ハンドル | 右 |
| 排気量 | 1,940 cc |
| 燃料 | 軽油 |
| 車両重量 | 1,860 kg |
| 車検 | 2028年5月 |
| 修復歴 | なし |