

なぜ新車のポルシェにすぐ手を入れるのか
今回の911は、令和8年登録の992.2型。7BA-992TK1という型式が示す通り、3.0L水平対向6気筒ツインターボを搭載する後期型である。ほどなくしてご入庫されたという事実が、このオーナーの姿勢を物語る。新車だからこそ、既製の意匠に満足せず、自分の911を作り上げたいという意思がそこにある。 911の核心は、リアに水平対向エンジンを置くRRレイアウトにある。ポルシェ自身が「心臓は今もリアで脈打っている」と語るように、この伝統は最新型でも変わらない。速さと日常性を同時に成立させるという911の役割は、外装の個性を纏うことでさらに際立つ。フロントリップとグリルの色替えは、その個性を自分仕様に更新する作業である。 新車であっても安心してカスタムを任せてもらえるよう、FOURSIDEはSNSを通して発信を続けている。今回の依頼も、その積み重ねの延長線上にある一台だ。ポルシェという特別な存在だからこそ、任せる相手への信頼が問われる。
脱着・分解に潜む輸入車特有の難所
作業はフロントバンパーとリアバンパーの脱着・分解から始まる。輸入車のほとんどに共通する難所として、ネジの種類が非常に多いことが挙げられる。1つ1つがどこから外したネジなのかを正確に記憶しておく必要があり、この工程だけでも相応の集中力を要する。 今回はフロントリップとリアバンパーをボディ同色に、グリルとフォグ部、前後ナンバーカバーをピアノブラックに塗装した。素材表面のシボ模様を消してから塗り重ねるシボ消し処理により、樹脂パーツが持つ独特の質感を消し、滑らかで一体感のある仕上がりへと変える。- フロントリップ塗装&シボ消し(ボディ同色)
- フロントグリル・フォグ部樹脂塗装&シボ消し(ピアノブラック)
- リアバンパー樹脂部塗装&シボ消し(ボディ同色)
- 前後ナンバーカバー塗装(ピアノブラック)

PDKという武器を纏う911の完成形
この911が積む8速PDKは、単なる快適装備ではない。奇数段と偶数段を2つのクラッチが分担し、次のギアを事前に準備しておくことで、駆動力をほとんど途切れさせずに変速する仕組みである。1980年代のモータースポーツで磨かれ、997型で市販車に初採用された、ポルシェ独自の技術だ。 Dレンジで滑らかに走ることもできれば、パドルを叩けば自分の意思でギアを選ぶこともできる。この二面性こそが992.2型ポルシェの個性であり、外装の仕上がりはその走りを支える器としての意味を持つ。塗装とシボ消しによって整えられた樹脂パーツは、走りの質と見た目の統一感を同時に成立させる。 調色から加工、取り付けを一貫して手がけたのは、お客様の素敵なカーライフのために納得のいく仕上がりを届けたいという思いからである。ポルシェという伝統ある一台に、新しい個性を刻む仕事は、これからも続いていく。





















