アストンマーティン ヴァンテージ フロントバンパー・リップ修理 ― 硬派なスポーツカーの輪郭を取り戻す

ヴァンテージ|板金塗装|京都
ヴァンテージという車は、優雅なアストンマーティンの中でも異端である。その硬派な走りの印象を支えるフロントは、塗装面にヒビが見られる深刻なダメージを負っていた。この輪郭をどう元通りに戻すか。
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見た目の優雅さに潜む、獰猛なスポーツカーの正体

ABA-AM601、2018年登場の新世代ヴァンテージ初期型である。4.0L V8ツインターボは510PS・685Nmを発生し、車重は約1,530kg、全長約4.47mというコンパクトな2シーター。DB系の優雅なGTとは一線を画し、シャシーから作り直された「運転するためのアストンマーティン」だ。 エンジンは前方ながら車体後方寄りに搭載するフロント・ミッドマウント構成で、8速ATも後方配置。さらにアストンマーティン初となる電子制御リアデフを備え、トルクベクタリングやアダプティブダンパーまで電子制御と機械を積極的に組み合わせている。停まっていても躍動感あふれるこの佇まいは、見た目だけの華やかさではなく、走りを支える設計思想も寄与しているのだろう。
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ヘッドライトを外さなければ、バンパーに触れられない

今回の依頼はホイール修理3本、フロントバンパー、リップ修理、そして運転席ドアミラー取付部の確認と修理である。中でも時間を要したのがフロントバンパーだった。一般的な車ならバンパーを外して修理すればよいが、ヴァンテージはそう単純ではない。まずヘッドライトを外し、ようやくバンパーにアクセスできる構造になっている。 ヘッドライト、ボンネット、フェンダー、バンパー、グリル。ヴァンテージのフロントはこれらのラインが連続してデザインされており、1か所のズレが別の場所の違和感に直結する。取り付けができることと、綺麗に仕上がることは別の話である。最後にすべてのチリとラインを揃える組み上げこそ、板金塗装の腕が問われる部分だ。
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Volcano Red Metallicが突きつける、もうひとつの難所

この車体色はボルケーノレッドという、単純な赤ではない深みのあるメタリックレッドだ。光が当たる面と陰になる面で赤の表情が変わり、曲面の多いヴァンテージのボディではプレスラインに沿って明るい赤から深い赤までグラデーションのように見える。色相だけ合わせても、メタリック粒子の立ち方が違えば光の反射が変わり、隣接パネルと異なって見えてしまう。 そこで正面から見た色だけで判断せず、光が当たったときの赤が隣のパネルと同じ表情を見せるかまで確認した。ホイールとリップの修理も含め、左右のチリ、ボディライン、塗装肌まで含めて「何もなかったように戻す」のが目的である。ヴァンテージを所有する価値とは、この一台にしかない硬派な走りと優雅さの両面を保ち続けることにあると、あらためて感じさせられる仕事だった。
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