アストンマーティン DB11ヴォランテ リアホイール修理 ― 色という名の、所有者だけが知る誇り

アストンマーティン|V8 ヴォランテ|板金塗装|京都
アストンマーティン ヴォランテが納車に先立ち、上賀茂の工房にて足元の仕立てを整えた。均整なクーペスタイルとアリゾナブロンズの外装色が織りなす全体の統一感は、ホイールの修復により完璧に近い状態へと仕上がった。
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フロントミッドシップが生んだ、見られるための車

アストンマーティン DB11 ヴォランテは、サーキットのタイムを削るための車ではない。リゾート地やシティクルージングで映えることを前提に設計された、ライフスタイルのための一台である。フロントミッドシップに積まれた4.0L V8ツインターボは、前後重量配分47対53という理想的なバランスを実現し、走りの軽快さと優雅さを両立させている。 8層構造のソフトトップを備えたヴォランテは、ルーフを開けば風とエキゾーストノートを纏い、閉じればクーペに匹敵する静粛性を取り戻す。リアシート背面のウッドパネルまで計算された仕立ては、外から見られることを前提にした美学の表れであり、ホイールもまたその一部として設計されている。
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キャンディブラックに潜むオリーブの気配

今回修理したリアホイールは、ダイヤモンドカット部分にキャンディブラックを重ね、トーンダウンされたマット仕上げを施した特別な意匠である。単純な黒ではなく、オリーブがかった色味が微妙に混ざり込んでおり、その濃度と色相を正確に再現することが最大の難所となった。 さらにマット感の調整が加わることで、調色の難易度は一段と上がる。艶の出し過ぎは軽薄に映り、抑えすぎれば本来の深みが消える。DB11ヴォランテが纏うべき品格を損なわないよう、幾度も試し塗りを重ねながら現物合わせで調整を進めた。
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外さなかったホイールにも手を入れる理由

ホイールを脱着した際には、キャリパーの清掃を同時に行うのが当工房の流儀である。今回は修理対象ではないフロントホイールもあえて脱着し、見えない部分までキャリパーを磨き上げた。これは依頼された作業の範囲を超えた、ディテールへのこだわりに他ならない。
  • リアホイール2本の修理塗装(ダイヤモンドカット・キャンディブラック調色)
  • マット感を含めた質感再現への調整
  • フロントホイール脱着によるキャリパー清掃
アストンマーティンを所有する価値は、所有して終わるものではない。足元の一色、見えない部分の清潔さまで維持して初めて、その美しさと力強さは保たれる。塗装の奥に宿る色の記憶を、我々は丁寧に受け継いでいく。
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