傷ひとつが語る、ディフェンダーという選択

ディフェンダー|板金塗装|京都
道具として乗る覚悟を持つ者だけが選ぶディフェンダー。その一枚のボンネットに残った傷は、所有の証でもあり、放置していい理由にはならない。上賀茂の工房が向き合った、価値を守るための一部始終である。
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なぜディフェンダーを選ぶのか、という問いから始める

1948年のアムステルダムモーターショーに端を発する系譜を、2019年にアルミニウム製モノコック「D7xアーキテクチャ」へと刷新したのが現行ディフェンダーである。ラダーフレームを捨ててまで走破性と快適性を両立させた設計思想は、単なる懐古ではない。あえて配線やボルトを露出させたインテリアが物語る通り、この車は見せかけの高級ではなく、道具としての誠実さを選んだ者に応える一台なのである。 だからこそ、ボンネットの傷は看過できない。テレインレスポンス2が路面を読み、アダプティブオフロードクルーズコントロールが速度を守る一方で、車体の外装はオーナー自身が守るしかない領域だ。今回持ち込まれたディフェンダーも、日常の走行の中でついた一筋の傷を抱えていた。
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ソリッドブラックが突きつける、艶という難題

今回の修理対象はボンネットのキズ修理塗装である。厄介だったのは、車体色がソリッドの黒だったことだ。メタリックやパールと違い、ソリッドブラックはクリヤの艶の有無がそのまま品質の差として目に映る。誤魔化しの効かない色である。 そこで塗装範囲は極力絞り込んだ。広く塗ればリスクは減るという考え方もあるが、あえて範囲を抑え、塗装品質を最優先に据えて作業を進めた。エンブレムは取り外し、再使用することで、新品交換に頼らず元の個体差を残す判断をしている。ディフェンダーの顔となるボンネットだからこそ、境界線の見極めに神経を使った。
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ボンネットを開けた先に見えた、もうひとつの仕事

ボンネットを開ける作業である以上、エンジンルームの状態も無視できない。今回はキズ修理と並行して、点検を兼ねた清掃作業も実施した。塗装のためだけに開いた蓋の内側にも手を入れる。これは工賃には表れにくいが、車両全体の状態を守るという意味で欠かせない工程だ。 作業を終えたディフェンダーは、特別値引きと調整値引(内税1円)という形で見積もりを整え、オーナーの元へと戻っていった。傷の修理という小さな入り口から、車全体の状態を見渡す。それが、道具として使い倒される一台に対する、工房としての向き合い方である。

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