マットホイールの階調に、光を宿す:TESLA Model X

テスラモデルX|カスタム|京都
テスラモデルXが京都・上賀茂のFOURSIDEに持ち込まれたのは、ホイールの傷とキャリパーの色褪せを、指先の感触ごと直したいという相談からだった。仕上がりの良し悪しは、見た目より先に手が覚えている。
テスラモデルX|カスタム|京都

2種のマットが触れ合う境界線

持ち込まれたテスラモデルXのホイールは、2色のマットカラーが組み合わされた特別仕様だった。修理でまず頭を悩ませたのは、艶の異なる2つのマットをどう調色し、境界を違和感なく繋ぐかという点である。マットは光沢と違い、粒子の粗さや反射の散り方まで再現しないと、修理跡は指でなぞった瞬間にわかってしまう。 試し塗りを重ねながら、乾燥後の質感を昼光と車庫の照明の両方で確認する作業を繰り返した。数値化しづらい「触った時に段差を感じない」という感覚こそが、このホイール修理の合格ラインだったからである。 テスラモデルXは自動運転や電動化の先進性で語られがちだが、足元のマットな質感もまた、静けさを演出する重要な要素だ。その静けさを損なわないための調色は、思った以上に神経を使う仕事だった。
テスラモデルX|カスタム|京都

ネットの1枚から色を立ち上げる

キャリパーペイントはキャリパー脱着なしで行う方針とした。車両に装着したまま塗ることで、脱着時に起こりうる微細な歪みや取り付け精度の狂いを避けられる。作業スペースは限られるが、その分、養生と筆致には普段以上の集中を要した。 指定色はオーナーが見つけたネット上の1枚の画像だった。画面越しの色は光の当たり方で印象が変わるため、色番だけを鵜呑みにせず、なぜその色に惹かれたのかをヒアリングすることに時間を割いた。 「世界の持続可能エネルギーへの移行を加速する」という思想を体現するテスラモデルXだからこそ、色選びにも本人の意志が反映されているはずだと考えたからだ。仕上げに施したキャリパーステッカーは、その対話の着地点である。

外して初めて見えた汚れ

ホイールを脱着した際、ホイールライナーの内側にタイヤワックスを含んだ泥汚れがこびりついているのが見えた。普段は目に触れない場所だが、そこが汚れたままでは修理後の一体感が崩れると判断した。
  • アルカリ洗剤による油分・ワックス汚れの分解
  • 高圧洗浄機での泥・粒子汚れの除去
  • 乾燥後のライナー内部の目視確認
NHTSAの全カテゴリで5つ星評価を得るテスラモデルXは、安全性能だけでなく所有する満足感でも高い期待を背負う車である。ライナーの奥まで清潔であることは、その期待に応える最小限の礼儀だと考えている。 塗り分けたマットの境界を指でなぞっても段差はなく、キャリパーの赤は思想の色として静かに主張する。テスラモデルXは、細部の手触りが整うことで、その存在の説得力を一段増したように見えた。

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