右リヤの静寂を還す、指先が知る仕上がり

zone:rear_bumper|京都
レクサス ES300h_Fスポーツの右リヤフェンダーとバンパーに残った傷跡を、目ではなく指先で確かめながら仕上げた記録である。光沢の奥にある面の連続性こそが、この一台の価値を決めていた。
レクサス|ES300h_Fスポーツ|板金塗装|京都

合わせ面のわずかな段差が語るもの

今回のレクサス ES 300h Fスポーツは、右リヤフェンダーとバンパーの境目にダメージが集中していた。フェンダーとバンパーの合わせ面という、もっとも面の連続性が問われる場所である。パテを盛り、削り、また盛る。その繰り返しの中で目指したのは、指先でなぞっても段差を感じさせない滑らかさだった。 この車種は後席に座る人の体験を最優先に設計されている。ドアを閉めた瞬間の無音に近い感覚、走り出したときの継ぎ目のないスムーズさ。その思想は外装にも通じる。合わせ面に僅かでも段差があれば、光の反射が揺れ、静粛性という価値そのものが疑われてしまう。だからこそパテの整形作業には、通常以上の時間をかけた。
レクサス|ES300h_Fスポーツ|板金塗装|京都

予算という制約が磨いた技術

お客様からは、費用を抑えたいという明確な要望があった。塗装範囲を小さく絞ることは、コストを下げる最も現実的な手段である。しかしその判断は、仕上がりの粗さという代償と常に隣り合わせだ。塗る面を最小限にしながら、境目をぼかし、色と艶を周辺と溶け合わせる。狭い範囲でこそ、技術の精度がそのまま結果に表れる。
  • 右Rフェンダーの部分修理
  • 右Rバンパーの部分修理
  • 合わせ面のパテ整形と面出し
  • 塗装範囲を絞った上での色調・艶の統一
令和3年改良でこの車は乗り心地や剛性のバランスを見直し、質感も一段引き上げられている。その“気づく人には刺さる進化”を、修理後の外装で損なわないこと。小さな塗装範囲であっても、その基準に応える仕上げが求められた。
レクサス|ES300h_Fスポーツ|板金塗装|京都

指でなぞって分かる、光の返り方

作業を終えた右リヤを、光の下でゆっくりと見る。フェンダーからバンパーへ、視線がつまずくことなく流れていく。これはレクサス ESが持つ流麗なラインが、事故前の状態に還ったことの証である。指先で境目をなぞっても、段差は感じられない。 ハイブリッドとFFが生む静かな走りは、外装の一体感があってこそ完成する。ドイツ御三家とは異なる、和の高級感という価値観をこの一台は背負っている。今回の修理は、その価値観を守るための小さな、しかし重要な一歩だった。仕上がりの手触りと光沢が、それを静かに証明している。

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