白いCLSは、選んだ人間の目を映す鏡である。メルセデス・ベンツ CLS220dスポーツエクスクルーシブパッケージのオパリスホワイトには、その人の審美眼がそのまま出る。地味に見えて、実は一番難しい色を選んだ理由を考えてみたい。

メルセデス・ベンツ CLS220dスポーツエクスクルーシブパッケージ|白という色が消した虚飾
メルセデス・ベンツ CLS220dスポーツエクスクルーシブパッケージという長い名前を持つこの個体は、色から語るべきだ。オパリスホワイトは単なる白ではない。パールでもなくソリッドでもない、光の粒子が沈むような質感を持つ。派手なメタリックを選ばなかった時点で、この個体のオーナーは目立つことに興味がなかったと分かる。CLSという流麗なフォルムは、実は色を選ばないと成立しない。黒なら威圧的になり、シルバーなら平凡になる。白だからこそ、あの4ドアクーペの輪郭が柔らかく浮かび上がる。4990mmという全長を持ちながら、白は車体を軽く見せる効果がある。これは狙って選ばれた色だと断言できる。
スポーツエクスクルーシブという中間管理職
スポーツエクスクルーシブパッケージという仕様名は、実は絶妙な立ち位置にある。AMGラインほど硬派ではなく、アバンギャルドほど大人しくもない。この中間を選ぶ人間は、実は一番目が肥えている。派手さを求めず、かといって没個性も嫌う。19インチ相当のホイールデザインとエクステリアの陰影が、白い車体の上でちょうどよい抑揚を作る。フルAMGのマッシブさを求めなかった判断は、CLSという車格を冷静に理解している証拠である。また、この仕様は中古市場でも数が少ない。目立たないが、実は選ぶのが難しい仕様なのだ。
1,940ccという答え合わせ
このCLS220dの排気量は1,940ccである。4990mmの車体を動かすには小さすぎると誰もが思う数字だ。しかし実際に走らせると、その予想は静かに裏切られる。ディーゼルらしい低速トルクが、車重を意識させずに前へ押し出す。高速道路での巡航は驚くほど呼吸が乱れない。燃費数値ばかりが語られがちな排気量だが、この個体においては経済性より「余裕」の証明として機能している。大排気量ガソリンを選ばなかったオーナーは、実は見栄より実用を取れる人だったのだろう。走行距離22,600kmという数字も、この判断が正しかったことを裏付けている。
22,600kmという行間
走行距離22,600kmという数字は、2022年式であることを考えると決して長くない。年間1万km弱というペースは、日常の足として使われつつも、酷使されなかったことを意味する。週末だけ乗る趣味車でもなく、毎日酷使される営業車でもない。ちょうど中間の使われ方をしていたと読み取れる。この距離感は、白いボディの状態の良さにも直結している。石はねや小傷は走行距離に比例するため、この数字の低さがオパリスホワイトの美しさを守った。数字は嘘をつかない。この個体の余裕ある使われ方が、そのまま今の状態に表れている。
京都で白いCLSに乗るという選択
最後に、この個体が京都という土地にあることの意味を考えたい。景観条例の厳しい京都では、街並みに馴染む色が好まれる傾向にある。白は寺社の白壁や砂利道の色とも喧嘩をせず、むしろ景色に溶け込む。しかし溶け込みながらも、CLSのフォルムは確実に人の目を引く。これは矛盾ではなく、成熟した選択の結果である。¥6,600,000という価格は、この年式・距離・仕様を考えれば決して高くない。むしろこの一台を逃せば、同条件の個体に出会う機会は少ないだろう。白を選ぶ審美眼を持つ人に、この一台を託したい。
メルセデス・ベンツ CLS220dスポーツエクスクルーシブパッケージ スペック・仕様
| メーカー | メルセデス・ベンツ |
|---|---|
| グレード | CLS220dスポーツエクスクルーシブパッケージ |
| 年式 | 2022 |
| 走行距離 | 22,600 km |
| 外装色 | オパリスホワイト |
| ハンドル | 右 |
| 排気量 | 1,940 cc |
| 燃料 | 軽油 |
| 車両重量 | 1,860 kg |
| 車検 | 2028年3月 |
| 修復歴 | なし |