

短い所有歴が語る、次の一手への布石
納車からわずか半年で深化を重ねる、特別なシビック。オーナーの美意識が形になっていくその貴重なプロセスを、大切に書き留めておく。オーナーはコーティングやリアウイング取付等、このシビックに数度の施工をFOURSIDEにご依頼いただいている。此度もまた更なるドレスアップのため、部品持ち込みによるテールレンズ交換という、決して小さくない作業が始まった。既存の意匠を活かしながらリアの表情を変えるこの選択は、単なる修理ではなく、オーナーが車の個性を自分の手で描き直そうとした意思の表れである。 そこに合わせてトランクスポイラーの取付も決まった。リア周りをまとめて手を入れることで、テールレンズ交換だけでは生まれない一体感を狙う。ホンダ シビックの持つ流麗なリアフォルムに、もう一段の抑揚を加える判断だった。
フロントリップとサイドステップ、下地から積み上げる工程
今回はリアだけでなく、FRP素材のフロントリップとサイドステップの取付・塗装・下地処理も一連の作業として進めた。FRPは軽量だが個体差が出やすく、下地処理の丁寧さが仕上がりを左右する。ここで焦ると、後の艶や段差の見え方に必ず響いてくる。 特にフロントリップは、フロントバンパーとの隙間や角度の擦り合わせに時間を要した。取材時、担当スタッフは「数ミリの浮きが表情を変える」と語っており、現場では実際に何度も仮組みを繰り返していた様子がうかがえる。 サイドステップも同様に下地処理から塗装まで一貫して行い、純正ラインとの境目を極力目立たせない仕上げを目指した。シビックの低く構えたサイドビューに、無理のない延長線を描くことができたのは、この地味な工程の積み重ねによる。
手を入れた先に見えた、一台としての完成度
すべての部材が取り付けられ、塗装の乾燥を終えたシビックは、リアのテールレンズとトランクスポイラー、フロント・サイドのFRPパーツが互いに呼応するような佇まいへと変わった。単品の交換では出せない、全体としての説得力がそこにはある。 オーナーが大切に使ってきた素地の良さと、今回の作業で積み上げた工程の丁寧さが噛み合ったことで、この一台は次のステージに立ったといえる。派手さよりも、細部の整合性を優先した仕上がりは、上賀茂のガレージらしい仕事の跡である。 作り込みすぎない加減こそが、この施工の狙いであり、その言葉に静かな手応えを感じた作業だった。


