

四角い車体を所有するということ
Gクラスは、買った瞬間に完成する車ではない。1989年に登場した旧型W463の骨格に、近代化を重ねて今に至る。ラダーフレームも固定軸サスペンションも、変えずに残された部分である。その頑固さを選んだ人が、この車のオーナーになる。 今回のGクラスは2015年式で、2012年から続くビッグマイナーチェンジ以降の世代にあたる。ダッシュボードは刷新され、ディストロニック・プラスなどの先進安全装備も備わる。ゴツゴツとした走り味とドアの重みを残したまま、高速巡航の安全性を底上げした、最も古典的なGらしさを味わえる完成形だ。 流行に左右されないスクエアなフォルムは、街中で圧倒的なオーラを放ち、資産価値も崩れにくい。だからこそ、リヤ周りの損傷は単なる外装の傷では済まない。直し方次第で、この車の十年後が変わる。
バンパーは替え、バックパネルは直す
今回の作業の軸は二つに絞られる。リアバンパーは交換のうえ塗装し、バックパネルは修理のうえ塗装した。部品で済む部分は新品に置き換え、骨格に近い部分は板金で元の形へ戻す。この線引きが、仕上がりの精度を決める。- リアバンパー 交換・塗装
- バックパネル 修理・塗装
- リアゲート 脱着、隣接パネルの付属品脱着
- 左リアオーバーフェンダー 脱着修理塗装

十年分の色を、読み解く
もう一つの難所が色である。経年した車両にはボディーの色あせがあり、新車時の色番号をそのまま調色しても合わない。基準にすべきは、今この車が纏っている色だ。隣接するパネルとの境目が目立たないよう、現状の色を読み解いて再現していく。 塗装はバンパーとバックパネル、左リアオーバーフェンダーにまたがる。面ごとに色あせの度合いが違うため、一点で合わせても全体では浮く。複数のパネルを並べて見比べながら、一枚の連続した色として仕上げることが求められた。 こだわりは、見えない部分にも向けた。低年式の車だったため、取り外したボルトを一本ずつ清掃してから取り付けている。錆や汚れを噛んだまま締めれば、トルクが正しく掛かっても締結は狂う。小さな手間だが、Gクラスを長く走らせるための、確かな下地になる。 強靭なラダーフレームと3つのデフロックが示す堅牢さは、ボルト一本の精度に支えられている。直した跡を感じさせないことが、この車の価値を守るということである。





















