

左リヤドアからフェンダーへ、損傷が語る衝撃の道筋
左リヤドアと左リヤフェンダー、そしてリヤバンパーにまたがる損傷は、一体どこから手を付けるべきかを冷静に見極める作業から始まった。ドアは脱着を伴う修理とし、フェンダーはオーバーフェンダーLHごと交換対象に含めた。バンパーは脱着・分解のうえ部分塗装で対応している。範囲が広い損傷ほど、部位ごとの見立てを誤らないことが仕上がりを左右する。 令和7年10月登録のGN0W型は、三菱が培ってきたPHEV技術の熟成形といえる一台だ。EV走行の静粛性と本格SUVの走破性を両立し、S-AWCによる四輪制御も磨きがかかっている。これほど完成度の高い車だからこそ、外装の修復にも同等の緻密さが求められると考えている。
逆アールとプレスラインの間、研ぎの精度が仕上がりを決める
今回最も神経を使ったのは、フェンダー上下に走る二重のプレスラインだった。上下のラインに挟まれた逆アール部分は工具が届きにくく、研ぎムラが出やすい。ここを丁寧に研ぎ込み、線をしっかりと立たせることができるかどうかが、修理の質を分ける最大の難所であった。 同じような損傷を抱えるオーナーに伝えたいのは、プレスラインが複雑な車種ほど、修理後の見え方に差が出やすいという点だ。アウトランダーのようにキャラクターラインが多い車体は、平面を整えるだけでは本来の面の張りが戻らない。線と線の間の陰影まで再現して初めて、違和感のない仕上がりになる。
引っ張りすぎない板金、パテを最小限に留める判断
作業でこだわったのは、板金の引っ張りポイントを見極め、パテの使用量を必要最小限に抑えたことである。パテを厚く盛れば作業は楽になるが、パネル本来の張りや質感を損ないかねない。金属の戻りを丁寧に見ながら形を作ることで、素材本来の表情を残す修理を目指した。 塗装後にはコーティングの再施工をサービスで行い、修理跡と既存部分の質感差を極力なくしている。三菱アウトランダーPHEVのような電動SUVは、日常の足として長く使われる車だからこそ、修理後の見た目の一体感が満足度を大きく左右すると実感した仕事であった。
