鋼板が伸びた左側面、ALPINA XD3が背負っていた距離

XD3|板金塗装|京都
ファイトニックブルーの車体に残された傷は、前から後ろまで続く浅い凹みだった。ALPINA XD3が積み重ねてきた走行の記憶を、板金という仕事で丁寧に消していく過程を追った。
XD3|板金塗装|京都

左側面に刻まれた、日常使いの証拠

今回入庫したのはG01後期型、いわゆるLCIをベースとしたALPINA XD3である。BMWがALPINAブランドを取得する直前、独立メーカーとしての矜持を最後まで貫いた一台だ。左Fドア・Rドア、そしてオーバーフェンダーにまたがる形で凹みが確認された。ディーラーで見かけることのない希少なこのモデルが、日々の暮らしの中でどう使われてきたかを物語る損傷である。 損傷自体は深いものではなかった。だが厄介だったのは、その範囲の広さである。前から後ろまで連続してダメージが及んでいたため、パテを入れる面積は必然的に大きくなった。ALPINA XD3という一台の車体を、一枚の板として捉え直す必要があった作業だったと言える。
XD3|板金塗装|京都

張りを失った鋼板と向き合う

板金作業を進める中で見えてきたのは、単なる凹みの修復では済まされない事実だった。損傷を受けた範囲の一部で鋼板そのものが伸びてしまい、本来あるべきパネルの張りが失われていたのである。これは表面をなぞるだけの修理では決して直せない領域だ。 そこで今回は、伸びた鋼板の張りをきっちりと出し直すことに主眼を置いた。単に凹みを埋めて塗装するのではなく、鋼板そのものの形状を整え、XD3が本来持つボディラインの緊張感を取り戻す作業である。地道な工程だが、この一手間が仕上がりの品格を左右する。
  • オーバーフェンダー脱着・左F/Rドア板金
  • リアバンパー脱着分解、付属品脱着
  • 塗装代一式、ホイル修理
  • アルピナデカール張替(下地処理・部品代含む)
XD3|板金塗装|京都

専用デカールが語る、独立メーカー最後期の矜持

板金・塗装と並行して手を入れたのが、ALPINA専用デカールの張替である。下地処理から丁寧に行い、部品も新調した。20スポークの専用ホイールとともに、このデカールこそが XD3を単なるチューニングX3から一線を画す存在たらしめている証だ。 速さよりも、どこまでも走り続けたくなる上質さ。それがALPINAという車の思想である。今回の作業は、その思想を宿した車体の張りとラインを取り戻す仕事だった。ファイトニックブルーの車体は、静かに、しかし確かに本来の姿を取り戻して工房を後にした。
XD3|板金塗装|京都
XD3|板金塗装|京都
XD3|板金塗装|京都
XD3|板金塗装|京都

GALLERY

BRAND / MODEL

ブランドから記事を探す。