異音の訴えから始まった点検は、車体下部で固着した一本のボルトとの静かな勝負に発展した。スズキ アルトラパン、二十年分の歳月が刻まれた足回りの記録である。
異音の正体を探る
お客様からの申告は「異音がする」という一言だった。今回ご依頼いただいたラパンは初年度登録から二十年近くが経過し、下回りの経年劣化が疑われた。点検の結果、中間触媒を含むマフラーパイプに腐食が広がり、これが振動と共鳴して異音を発生させていたことが判明した。原因を突き止めた時点で、単純な部品交換では済まない予感があった。
折れずに外すという判断
マフラー脱着の難所は、経年で固着した取付ボルトだった。無理に回せば折れてしまい、かえって作業工程が増え、車体への負担も大きくなる。そこで浸透油を丁寧に注しながら、様子を見て少しずつ力を加える方法を選んだ。焦らず時間をかけたことで、ボルトを一本も折らずに取り外すことができた。ここでの判断が、後工程の作業効率と車体保護の両方を守った。
マフラーパイプと触媒は社外品に交換し、ボルトスプリングセットも新調して固定力を回復させた。これでラパン特有の軽やかな走行音が戻り、異音の訴えは根本から解消された。
申し出以外も見逃さない点検
今回はマフラーだけでなく、パワーウィンドモーターの不調も見つかり、レギュレーターごと脱着して中古新品に交換。ワイパーゴムはちぎれが目立ち前輪側を新品に、エンジンオイルは前回交換から一年以上経過していたためFUCHS SUPER GT 10W-30に入れ替えた。
- マフラーパイプ(触媒)交換・マフラーパイプ(社外品)・ボルトスプリングセット
- パワーウィンドモーター交換(レギュレーター脱着含む)
- エンジンオイル交換(FUCHS SUPER GT 10W-30)
- フロントワイパーゴム交換
申し出のあった異音以外にも不良箇所がないか点検し、見つかった不具合はその都度提案する姿勢を徹底した。ご依頼主の声と向き合いながら、安心して長く付き合える一台に仕立て直した。ウサギの隠れエンブレムを探しながら乗るような愉しみも、この足回りがあってこそ続いていく。