スズキ ジムニーノマドが背負うのは、悪路を厭わぬ本格4WDの矜持と、5ドアがもたらす家族の時間だ。その顔つきを社外グリルとボディ同色塗装で仕立て直す一部始終を記す。
「遊牧」の相棒に何を選ぶか
スズキ ジムニーノマドは、名の通り場所と時間に縛られない自由な移動を体現する一台である。専用ラダーフレームで車体剛性を確保しながら5ドア化を果たし、後席の居住性と本格オフロード性能を両立させた設計思想には、妥協のなさが滲む。
シエラから受け継いだスクエアボディは、機能に徹した美しさを持つ。この車を選ぶ人は、見た目の主張よりも縦置き1.5L直4エンジンと後輪駆動ベースの4WDが刻む走破力に価値を見出しているはずだ。
だからこそ、フロントマスクをどう仕立てるかは所有の意味そのものに関わる。今回のご依頼は、社外品グリルをボディ同色のシズリングレッドメタリックで塗装し、装着するという内容であった。
赤メタリックが試す塗装の腕
シズリングレッドメタリックは発色の美しさで知られる一方、塗料の染まりにムラが出やすい難しい色でもある。特にメタリックの粒子は下地の明度によって表情を大きく変えてしまう。
そこで今回は、本塗装前に同明度のプライマーを事前に塗布する工程を挟んだ。この一手間により、グリル全体が確実に狙った赤へと染まり、純正ボディとの色差を感じさせない仕上がりを実現している。
ジムニーノマドのボディカラーに寄り添う塗装は、単に赤を吹くだけでは成立しない。下地づくりこそが、メタリックの均一な発色を左右する最大の分岐点であった。
見えない場所にこそ手をかける
社外品グリルの装着では、純正ヘッドライトの爪が干渉するため、加工が避けられなかった。適切な箇所を切断し、ハンドグラインダーで切断面を丁寧に整える作業が必要となった。
本来ならば、この切断箇所はグリルを取り付ければ完全に隠れてしまい、外部の目に触れることはない。それでも仕上げを疎かにしないのが、長く乗り続ける一台に向き合う姿勢だと考えている。
- 社外品グリルの取付加工(純正ヘッドライト爪の切断・研磨)
- ボディ同色シズリングレッドメタリックへの塗装
- 同明度プライマーによる下地処理と本塗装
スズキ ジムニーノマド の価値は、悪路を走る性能だけでなく、こうした見えない部分の仕上げの積み重ねによって守られていく。次の遠出でも、その顔は静かに誇らしいはずだ。