

右ドアミラーとリヤ周り、二正面の損傷
今回入庫したマツダ CX-5は、右ドアミラーとリヤゲート・リヤバンパーという二箇所の損傷を抱えていた。ミラーはハウジング、ミラーガラス、サイドターンまで含めた一式交換。リヤ側はバンパー本体に加え、カバーとリテーナを左右とも新品に置き換え、リヤゲートとゲートランプも交換となった。付属品の脱着まで含めると点数は多く、部品構成を見ただけで、この一台がただの板金では済まないことが分かる。 ボディカラーはホワイト。KF2Pという型式が示す通り、この個体は2.2L SKYACTIV-D、200ps・450Nmを積む、2020年12月改良後の一台である。ファミリーSUVでありながら、アクセルを軽く踏むだけで車体を前へ押し出すあの感覚を、オーナーは日常の足として味わってきたはずだ。だからこそ、外観の修復であっても、その質感を損なうわけにはいかない。
塗装前に合わせられない、バックドアという難所
通常の板金塗装であれば、塗装前に合わせ作業を行い、隙間や段差を追い込んでから塗装に入る。ところがマツダ CX-5のバックドアは付属品が多く、塗装前の合わせ作業そのものが困難な構造を持つ。今回は塗装を終えたあと、付属品をすべて取り付けてから、ようやく合わせ作業に着手するという手順を選んだ。新品パネルを組んで終わりではなく、リアバンパーやテールランプとの隙間、面差し、段差を一つひとつ確認し、微調整を重ねて仕上げている。 さらに厄介なのが調色である。新品のリアバンパーはすでに塗装された状態で届くが、これを左右のリアフェンダーやバックドアの色と揃えなければならない。樹脂パーツと鋼板パネルは、同じ色番であっても発色が微妙に異なる。この差を長年の経験と知見で読み解き、隣接するパーツ同士が違和感なく繋がるよう調色を詰めていく作業こそ、今回の施工における最大の勝負どころだった。
200psディーゼルの個性を、外観の完成度で支える
マツダ CX-5というモデルは、SUVを選んでも運転する楽しさを諦めなくていい、という思想の上に成り立っている。特にこのKF2Pは、2020年12月の改良で190psから200psへと引き上げられ、高速道路の合流や追い越しでも力強く伸びるキャラクターを手に入れた、通好みの一台である。走りの個性がはっきりしている車だからこそ、外装の面精度や色の一体感が崩れていると、その良さまで薄れて見えてしまう。 だからこそ今回は、リヤゲート塗装とバンパー交換の両方に、面差しと調色という地道な作業を丁寧に積み重ねた。シール類も打ち替え、見えない部分まで新品同様の状態に戻している。仕上がったマツダ CX-5は、ホワイトのボディに違和感のない一体感を纏い、200ps・450Nmの走りを支えるにふさわしい佇まいを取り戻した。










