

裂けた樹脂に触れて分かったこと
フロントバンパーを脱着し分解した段階で、裂けの深さは表面から見た印象より深いことがわかった。CX-5 のエアロバンパーは魂動デザインの意匠を保つため肉厚が薄く、衝撃が一点に集中すると素材ごと裂ける。触れて初めて気づく段差や歪みを丁寧に均していく作業こそ、この修理の核心だった。 フロントバンパースポイラーの損傷はさらに深刻で、取付部の欠損に加え、2色展開されたパネルの境目に大きな素材割れが走っていた。ここは走行中に石を跳ね上げやすい位置であり、一度傷むと連鎖的に裂けが広がる。見た目以上に手のかかる箇所である。
はんだごてが決める強度と静けさ
難所となったのは、割れと裂けが同時に発生したスポイラーの修復である。はんだごてによる溶着でまず樹脂同士を戻し、プラスチックリペアツールで形状を固定した。この工程が甘いと、後の塗装でどれほど艶を出しても走行中の微振動で再び亀裂が入る。 さらに接着ネットを仕込みパネルボンドで補強することで、取付時や走行中の振動にも耐える下地を作った。CX-5が日常の足として使われる以上、静かに、しかし確実に効く強度こそが求められる仕上げだと考えている。- フロントバンパー 脱着分解組立、修理(裂け)
- フロントバンパースポイラー 脱着、修理(割れ、裂け)
- 左オーバーフェンダー 取付加工

マットからグロスへ、光の返し方を変える
修理のついでに、というのは軽い言い方かもしれないが、今回はマッドブラックだった部分をグロスブラックへ仕様変更する提案を行った。艶のない面と艶のある面とでは、同じ黒でも光の返し方がまるで違う。手で撫でたときの滑らかさも一段上がる。 左オーバーフェンダーの取付加工とあわせて塗装を仕上げると、バンパーからフェンダーへと連続する光の筋が生まれた。修理でありながら見え方が刷新される瞬間である。京都・上賀茂の地で、傷を癒えたCX-5は再び魂動を刻み始めた。 最終仕上げまで見届けたとき、施工前より馴染んだ表情になっていたことに気づく。修理とカスタムの境界を曖昧にする、そうした仕事もFOURSIDEらしいと思っている。

