Mercedes-Benz G350d ブラックアウトカスタム ― 黒に、もう一段深い黒を重ねるということ

Mercedes-Benz|G-Class|カスタム|京都 もともと黒かったGクラスに、なぜ黒を重ねるのか。その問いへの答えは、上賀茂で仕上がったG350dの佇まいを見れば、おのずと腑に落ちる。艶やかな黒が、幾層もの艶消しとキャンディブラックに置き換わり、一台は「漆黒」と呼ぶべき深みを纏った。 Mercedes-Benz|G-Class|カスタム|京都

光を纏う場所を、スモークで覆う

まず手が入ったのは、光を放つパーツたちだった。ヘッドライト、ウインカーレンズ、テールレンズ、そしてドアミラーウインカーに、Fenix Scratch Guard(塗装タイプPPF)によるスモーク施工を施している。塗装タイプのPPFは、単なるフィルム貼りとは異なり、下地への密着と耐候性を両立させながら、レンズ本来の発光を損なわずに陰影だけを深める難しさがある。

Gクラスの武骨な面構成において、灯火類は数少ない曲面であり、表情を決定づける部位でもある。そこにスモークをまとわせることで、直線的なボディラインとの対比が薄れ、フロント・リアともに一体感のある「黒い塊」としての印象へと変わっていった。夜間、点灯した際に滲むように広がる光もまた、この施工がもたらした新しい表情のひとつだ。

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メッキを脱ぎ、キャンディブラックを纏う

次に手を加えたのは、本来もっとも「クロームの主張」が強い部位、グリルとフロントバンパーガーニッシュである。これらは純正でメッキ仕上げとされ、Gクラスの顔つきにアクセントを与えるパーツだが、今回はそのメッキを黒へと置き換えるキャンディ塗装が選ばれた。

キャンディ塗装は、下地の質感を透かしながら発色させる技法であり、単色のマットブラックとは異なる奥行きを持つ。メッキの反射がもたらす華やかさを手放す代わりに、光の当たり方によって濃淡がわずかに揺れる、落ち着いた黒を得ることができる。フロントマスクからクロームの気配が消えたことで、Gクラス特有の武骨な佇まいが、より研ぎ澄まされた印象へと変わった。

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足元にも、同じ黒を

ボディだけでなく、足元にも同じ思想が貫かれている。純正シルバーだったホイールは、グロスブラックへと塗り替えられた。マットではなくグロスを選んだのは、ボディやレンズ周りの艶消し・半艶の質感との間に、あえて一段のコントラストを持たせるためだ。艶のある黒が足元で光を跳ね返すことで、車体全体の重心が視覚的に引き締まって見える。

さらに、背面に据えられたスペアタイヤカバーの側面も再塗装の対象となった。Gクラスのリアビューを象徴するこのパーツは、灯火類やグリルと同様、車両全体の統一感を左右する部位である。ここに手を入れたことで、フロントからリヤまで、黒の濃度に途切れがない一台に仕上がった。

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漆黒の奥に息づく、赤いスポーティネス

外装が漆黒へと沈み込んでいく一方で、この個体にはもうひとつの顔がある。AMGラインパッケージ特有の内装だ。シートに走る赤いステッチ、そしてシートベルトの赤。ドアを開けた瞬間に飛び込んでくるこの色彩は、外装の静けさとは対照的に、Gクラスがただの重厚な箱ではないことを物語っている。

品格と落ち着き、ラグジュアリーな空気をまとった漆黒のボディと、内側に潜むスポーティーな赤。この二面性こそが、今回のブラックアウトカスタムが目指した完成形だったのかもしれない。外から見れば静謐、乗り込めば鼓動が速まる。そのギャップを演出として成立させるには、外装の黒がどこまでも均質で、迷いのない仕上がりでなければならなかった。

メルセデス・ベンツ G350d_AMGライン コラム FOURSIDE京都 32

京都という街で、この一台に乗るということ

寺社や町家の連なる石畳の通りを、漆黒のGクラスが静かに進んでいく。派手な主張をしない代わりに、見る者の記憶にじわりと残るような存在感。それは、京都という街の持つ品格やたたずまいと、どこか響き合うものがある。

四角い車体にキャンディブラックとグロスブラックを重ねたG350dは、威圧的ではなく、むしろ落ち着いた佇まいで街に溶け込む。それでいて、一歩室内に足を踏み入れれば、赤いステッチが所有する喜びを静かに主張してくる。上賀茂のガレージから送り出されたこの一台が、京都の街を走るたび、オーナーにとっての特別な時間を運んでいくのだろう。

この漆黒のG350dは、いま上賀茂で次の主を待っている。既製品では決して味わえない、一台一台に手を入れて磨き上げた個体だけが持つ説得力が、ここにはある。写真越しに眺めているだけでは、キャンディ塗装が光を透かす瞬間の深みも、艶消しレンズが夜に滲ませる灯りの柔らかさも、伝えきれない。

気になった方は、ぜひ一度、この目で確かめに来てほしい。乗り込んだ瞬間に飛び込んでくる赤いステッチが、この一台をただ眺めるだけでは終わらせないはずだ。

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