メルセデス・ベンツ G350d AMGラインが積むディーゼルは、もう新車のカタログには載っていない。20,801kmという走行距離が、この機関の若さを静かに証明している。

メルセデス・ベンツ G350d AMGライン|【機関】6気筒が生まれた理由
G350dの心臓部は、直列6気筒2,920ccのディーゼルターボである。4気筒化とダウンサイジングが業界の潮流だった時代に、あえて6気筒を選んだ意味は大きい。トルクは600Nmに達し、重さ2.5トンを超える車体を涼しい顔で押し出す。この余裕は排気量からしか生まれない。また電動化と排気規制の板挟みの中、これほど滑らかな直6ディーゼルを積んだGは今後現れないと言い切れる。効率だけを追う時代への、最後の抵抗のような一台である。
叩き上げの機構、ラダーフレーム
G350dの下には、今も頑固にラダーフレームが横たわっている。モノコック全盛の時代に、この骨格を残す判断は経営的には不合理だ。しかし悪路での剛性と修理性の高さは、この構造でしか実現できない。3つのデフロックを備え、センターデフロックひとつで悪路の走破性は劇的に変わる。20万キロを超えても足回りが緩まない個体が多いのは、この頑丈な骨格ゆえである。走行距離2万キロという若さは、まだこのフレームの本領を出し切っていない証拠でもある。
箱型が守った、視界という贅沢
デザインを語るなら、まずガラス面積の広さに触れねばならない。四角い箱型のボディは、流線形が失った視界の広さをそのまま残している。AMGラインは19インチAMGホイールと専用エクステリアで硬派な佇まいを強調するが、内装は木目とナッパレザーで驚くほど柔らかい。オブシディアンブラックの外装は、この矛盾した性格を上品に覆う色である。また運転席に座ると、Aピラーの立った角度がもたらす視界の広さに気づく。これは空気抵抗を犠牲にした代わりに得た、実用の美である。
電子制御が追いつけない領域
現行モデルはさらに電子化が進み、乗り心地は洗練された。だがオフロードでの人間の判断を機械が奪い切っていない点は、この2021年式にも共通する。3ロックデフはドライバーの意思そのものであり、自動制御に頼らない操作感が残っている。ステアリングを切った瞬間の重さは、パワーアシストの介入が控えめな証拠だ。一方で街中での取り回しには覚悟が必要で、全幅1,980mmは京都の路地では明確な壁になる。この不便さこそ、機構が本物である裏付けだと思える。
なぜ今、この個体を選ぶ理由
1,300万円という価格は、新車の値上がりを知る者ほど納得する数字だろう。2021年式のこのエンジンは、規制強化前の設計思想で作られた最後期のディーゼル機構である。走行距離20,801kmは年間平均5,000km程度で、機関にほとんど負荷がかかっていない計算になる。今後同じ構成のGクラスを新車で買うことは、もうできない。中古車という選択が、実は最も合理的な機会の入手方法になっている稀な例である。この一台は、終わった時代の完成形を持ち帰る機会だ。
メルセデス・ベンツ G350d_AMGライン スペック・仕様
| メーカー | メルセデス・ベンツ |
|---|---|
| グレード | G350d_AMGライン |
| 年式 | 2021 |
| 走行距離 | 20,801 km |
| 外装色 | オブシディアンブラック |
| ハンドル | 右 |
| 排気量 | 2,920 cc |
| 燃料 | 軽油 |
| 車両重量 | 2,500 kg |
| 車検 | 2026年10月 |
| 修復歴 | なし |
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今回、FOURSIDEではこのG350dに新たな特色を加えるカスタムを施工した。その全容は下記リンクより、ご覧いただきたい。 メルセデス・ベンツ G350d カスタム施工レポート | FOURSIDE CONTENTS