1996年に誕生したロードスターは、ポルシェというブランドの延命装置だったという説がある。今回のポルシェ ボクスターは、その血が濃く残る981型である。

ポルシェ ボクスター|ゼロから描き直された3代目
ミッドシップという構成が、単なる技術的な選択ではなく思想であることを教えてくれるクルマがある。ポルシェ・ボクスターの3代目、981型はまさにその体現だ。986、987と積み重ねてきた熟成の果てに、2012年、ポルシェはボクスターを一度ゼロから描き直した。ホイールベースを60mm延長し、フロントオーバーハングを25mm切り詰める。数字だけを見れば地味な変更に思えるかもしれないが、実際にステアリングを握れば、その差は歴然としている。ノーズの切れ込みは鋭く、リアは路面に吸い付くように安定する。986・987が持っていた「手強さ」が消え、代わりに現れたのは、誰の手にも馴染む懐の深さだった。
光を語る色、シルバー
今回入庫したのは、その981型の初期モデルにあたる2012年式。ボディカラーはシルバー。ポルシェのシルバーは単なる無彩色ではなく、光の当たり方によって鈍く沈んだり、鋭く跳ね返ったりする表情豊かな色だ。981が持つ面の張りと陰影を、シルバーという色ほど雄弁に語る色はないかもしれない。ヘッドライトからフェンダーへと流れるキャラクターラインは、光を受けるたびに車体の抑揚を強調し、止まっていてもなお動きを感じさせる。
中央に息づく2.7リッター水平対向6気筒

74,000kmという走行距離の意味

398万円で手に入る、オープン2シーターの完成度
車両価格は398万円。986・987の時代とは一線を画す完成度を持ちながら、中古車市場では手の届く価格帯に収まってきた981型は、いまオープン2シーターの選択肢として改めて注目すべき存在だ。屋根を開け、6気筒の音に包まれながら流れる景色を追う ― そんな週末の過ごし方に興味がある方は、ぜひ一度、実車をご覧いただきたい。
日常に置く、という選択
ポルシェ ボクスターという名前には、どこか特別な響きがある。しかし実際にこの個体を選ぶ理由は、日常の相棒として構えられる現実性にあるのではないか。血統としては911の弟分という立場だが、ミッドシップならではの操縦性は兄とは異なる魅力を放つ。京都という土地で、休日に山道を流すもよし、鴨川沿いを幌を開けて走るもよしである。血統書付きの一台を、日々の暮らしの中に置いてみる。それが今回の個体が提案する、静かながらも実感の伴う選択肢である。
ポルシェ ボクスター スペック・仕様
| メーカー | ポルシェ |
|---|---|
| グレード | ボクスター |
| 年式 | 2012 |
| 走行距離 | 74,000 km |
| 外装色 | シルバー |
| ハンドル | 右 |
| 燃料 | ガソリン |
| 車検 | 2027年12月 |
| 修復歴 | なし |