メルセデス・ベンツのラインナップの中でも、めったにお目にかかれないエメラルドグリーン。そのボディカラーを纏ったGLS 580 4マチック スポーツが、上賀茂でさらに一段、色の物語を深めた。メッキだったパーツのすべてが、ボディと同じ緑へと還っていったのだ。
希少な緑を、マットの膜で守り、育てる
今回のベース車両は、2021年1月登録のGLS 580 4マチック スポーツ(ISG搭載モデル)。7人乗りの3列シート、4WDとオートマチックの組み合わせで、フルサイズSUVとしての懐の深さを持ちながら、内装には白のレザーが選ばれ、外装にはこのブランドの中でも稀少なエメラルドグリーンが纏われている。

メルセデス・ベンツのカラーオーダーの中で、緑という選択肢そのものが多くない。ブラック、ホワイト、シルバー、あるいは鮮やかなレッドが主流を占める中で、このエメラルドグリーンは初めから「選ばれる色」というより「見つける色」に近い存在だった。今回は、その希少な塗色の上からFenixのマットタイプ・プロテクションフィルムを施工している。艶を落とすことで色そのものを変えるのではなく、もとの発色を保ちながら質感だけを落ち着かせる、いわば「素材の緑を活かす」という選択だ。同時に、経年や飛び石から塗装面を守るという実用面での意味も併せ持っている。
メッキが消え、緑がその場所を埋めていく
続いて手が入ったのは、フロントグリルやエンブレムバッジといった、本来メッキシルバーで存在感を放っていたパーツ群だ。これらをすべて、ボディと同じエメラルドグリーンのキャンディ塗装で塗り替えている。
多くのブラックアウトカスタムでは、メッキを黒に置き換えることでボディカラーとのコントラストを演出する。しかし今回選ばれたのは真逆のアプローチだった。メッキを消す先にあるのは黒ではなく、ボディカラーそのもの。グリルの奥、エンブレムの輪郭、これまで「別の色」として主張していた部位が、すべてボディと同じ緑に染まることで、車両全体がひとつの塊として立ち上がってくる。GLSという大柄なボディの、隅々にまで塗色の意思が行き渡った格好だ。
足元にもディッシュホイールという「格」を
ホイールには、メルセデス・マイバッハGLS専用のディッシュホイールが選ばれた。面で覆われたディッシュデザインは、スポークの隙間から機構を見せるホイールとは対照的に、静謐で塊感のある佇まいを持つ。メルセデスの中でも最上級ブランドであるマイバッハ譲りのデザインを移植したこと自体が、このGLSにひとつ上の格を与えている。

そしてこのディッシュホイールにも、グリルやエンブレムと同じエメラルドグリーンが塗装された。ただし、ここだけはあえてマットではなくグロスでの仕上げが選ばれている。ボディとメッキ跡地がマットの落ち着いた緑で統一される中、足元のホイールだけが艶を纏うことで、視線が自然と下へと吸い寄せられる。同じ緑でありながら質感で強弱をつける、この一手間が、単なる「全塗り」に終わらない奥行きを生んでいる。
ラグジュアリーSUVの世界観に、一貫した色の物語を
GLSは、メルセデス・ベンツのSUVラインナップの頂点に立つ、フルサイズラグジュアリーモデルだ。7人が快適に移動できる広さと、あらゆる路面を悠然とこなす走破性、そして纏う質感のすべてが「上質」という言葉に収斂していく。そのGLSにとって、外装色は単なる個性ではなく、世界観そのものを決定づける要素と言っていい。
今回の施工は、メッキという「別の色」を排除し、ボディと同じエメラルドグリーンに統一することで、GLSが本来持っているラグジュアリーな世界観を、より純度の高い形で提示することに成功している。メルセデス・ベンツの中でもめったに出会えないこの緑が、グリルからエンブレム、そして足元のディッシュホイールに至るまで途切れることなく続いている一台は、そう多くは存在しない。

メルセデス・ベンツの純正色であるエメラルドグリーン。この色は角度によってさまざまな色と表情を見せるという。マットになったことでその謂れがよく分かる。その時々によって黒や青を纏っている瞬間が確かにあるのだ。
北山の緑に溶け込み、新たな主を静かに待つ
これほどまでに塗色の統一感を突き詰めた一台は、そうそう出会えるものではない。希少なエメラルドグリーンを、質感を変えながら車体の隅々まで行き渡らせたこのGLSは、写真だけで眺めているにはあまりに惜しい仕上がりだ。実車を前にして初めて分かる、マットの深みとグロスの艶、その対比をぜひご自身の目で確かめていただきたい。あなたの一台にもこの緑の物語を。お気軽にFOURSIDEまでご相談を。