今回入庫したのは、初代グラントゥーリズモ(M145)の集大成であるGranTurismo MC Finalだ。フェラーリ由来の4.7L自然吸気V8を積む最後の世代であり、ピニンファリーナが描いたラインを最終形として完成させた一台である。右リアフェンダーの板金とリアバンパーの脱着・分解、そして再塗装が今回の中心作業となった。
ここで見過ごせないのが、この車両が新車時からマットPPFで保護されていたという事実である。マセラティ本来のボディカラーは、PPFという膜一枚を隔てた奥に隠れている。単純に「見えている色」を基準に調色すれば、それは実車の色ではなくPPF越しの色を再現するに過ぎない。同じ症状──PPF施工車の補修──を抱えるオーナーが必ず直面する落とし穴が、まさにここにあった。