上賀茂で見た、傷が語るBMW X1の日常

BMW X1|板金塗装|京都
フロントバンパーに刻まれた一撃は、BMW X1が日々の暮らしの中でどう使われてきたかを静かに物語っていた。上賀茂のガレージで向き合ったのは、単なる修理ではなく、車の来歴を読み解く作業である。
BMW X1|板金塗装|京都

コンパクトSUVが背負う日常の摩耗

BMW X1はエントリーSUVとして、取り回しの良さを設計思想の核に据えている。日本の道路事情に合わせたサイズ感は、裏を返せば駐車場の柱や対向車とのすれ違いなど、接触のリスクと常に隣り合わせだということでもある。今回持ち込まれた個体のフロントバンパーには、そうした日常使いの痕跡がはっきりと残っていた。 損傷は単なる擦り傷ではなく、変形を伴う入力の大きいものだった。プレミアム・コンパクトを掲げるX1の顔つきは、上位Xシリーズ譲りの迫力あるデザインゆえに、一度歪むと違和感が際立ちやすい。この個体が背負ってきた時間の重みを、まずバンパーを外すところから確認していく。
BMW X1|板金塗装|京都

熱で戻し、パテに頼らない下地づくり

作業はフロントバンパーの脱着と半分解から始まった。変形が大きい損傷ほど、パテやサフェーサーで安易に埋めたくなるが、それでは素材本来の強度と面の美しさを損なう。そこで選んだのは、プラスチックが熱で変形しやすいという素材の習性を逆手に取る方法である。 ヒートガンを使い、変形した部分をあぶりながら少しずつ本来の形状へと戻していく。この工程で下地材に頼る量を極力減らせるかどうかが、修理の質を左右する分かれ目だった。手間はかかるが、地道に形を戻したうえで補修塗装に入るという順序を崩さなかった。 プラスチックリベットの交換や部分的な部品修理も並行して行い、X1の骨格に無理な力が残らないよう調整を重ねた。見えない部分ほど丁寧に扱うのが、長く乗り続けてもらうための最低条件だと考えている。
BMW X1|板金塗装|京都

再発を見据えた仕上げの調整

補修塗装を終えたあとも、作業はそこで終わりではない。バンパーの取り付け精度や隙間、開閉時の当たりなど、後々になって不具合として顕在化しそうな箇所を一つひとつ点検し、調整した。経験則に基づいて先回りすることが、再来店の手間を減らすことにつながると信じている。 BMW X1というモデルは、ガソリンからディーゼル、そしてiX1のような電動化まで幅広い選択肢を持つ。どの動力を選ぼうと、日々の相棒として付き合う以上、外観の傷は所有者の気持ちに小さな影を落とす。今回の一台も、静かにその影を払って戻っていった。

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