BMW X1はエントリーSUVとして、取り回しの良さを設計思想の核に据えている。日本の道路事情に合わせたサイズ感は、裏を返せば駐車場の柱や対向車とのすれ違いなど、接触のリスクと常に隣り合わせだということでもある。今回持ち込まれた個体のフロントバンパーには、そうした日常使いの痕跡がはっきりと残っていた。
損傷は単なる擦り傷ではなく、変形を伴う入力の大きいものだった。プレミアム・コンパクトを掲げるX1の顔つきは、上位Xシリーズ譲りの迫力あるデザインゆえに、一度歪むと違和感が際立ちやすい。この個体が背負ってきた時間の重みを、まずバンパーを外すところから確認していく。
補修塗装を終えたあとも、作業はそこで終わりではない。バンパーの取り付け精度や隙間、開閉時の当たりなど、後々になって不具合として顕在化しそうな箇所を一つひとつ点検し、調整した。経験則に基づいて先回りすることが、再来店の手間を減らすことにつながると信じている。
BMW X1というモデルは、ガソリンからディーゼル、そしてiX1のような電動化まで幅広い選択肢を持つ。どの動力を選ぼうと、日々の相棒として付き合う以上、外観の傷は所有者の気持ちに小さな影を落とす。今回の一台も、静かにその影を払って戻っていった。