

二色のホイールが突きつけた課題
A5カブリオレの足元を飾るホイールは、単色ではない。アルミの削り出し面とペイント面を組み合わせた二色展開である。左リアホイールのリペアでは、この構成そのものが最大の難所になった。 マスキングの精度がそのまま仕上がりの印象を決める。境界線が1ミリでもぶれれば、デザイナーが意図した引き算の美学は台無しになる。華美な装飾を排したA5のプロポーションは、わずかな歪みにも敏感に反応するからだ。 さらに悩ましかったのは、削り出し面の色調再現である。アルミを削った際の微細な光の反射は、塗料だけでは簡単に再現できない。顔料の配合と吹き付けの角度を何度も試し、現物に目を近づけては確認する作業を繰り返した。
足回りの点検という副産物
ステップカバーはボディーの低い位置に取り付けられている。通常のジャッキアップでは手が届きにくく、今回はリフトアップでの作業を選んだ。この判断が、思わぬ副産物を生んだ。 車両を持ち上げた以上、足回りを見ない手はない。せっかくの機会を活かし、ブレーキ周りや足回りの各部の納車前点検を併せて実施した。FUCHS GT1 FLEX3 5W-40へのオイル交換、フィルターとドレンプラグアッセンブリーの刷新も同じタイミングで済ませている。- ETCセットアップ、納車前点検
- FUCHS GT1 FLEX3 5W-40、オイルフィルター、ドレンプラグ等交換
- Fワイパーブレード(撥水対応)、エアコンフィルター、バッテリー交換
- 左リアホイールリペア、左ステップカバー・フロントバンパー・各ホイールタッチアップ

知的な気品を取り戻す
A5カブリオレは、BMWのようなアグレッシブさでも、ベンツのようなクラシカルな豪奢さでもない道を選んだ車である。その知的でクールな気品は、ショルダーラインの緩やかな盛り上がり、いわゆるクワトロ・ブリスターに象徴される。 今回のタッチアップは、フロントバンパーと各ホイールにも及んだ。小さな傷の積み重ねが、この「これ見よがしではない気品」を静かに損なっていく。だからこそ細部への手当てを怠るわけにはいかない。 二色ホイールの塗り分けを終え、ステップカバーを戻し、リフトから降ろされた車体は、見た目には何も変わっていないように映るかもしれない。だがその静けさこそが、このアウディ A5カブリオレが本来持つべき姿である。






