

単品で預かるという判断の意味
今回の依頼は車両ごとではなく、単品ホイルのみの持ち込みだった。1本だけの修理は珍しくないが、単体で預かるからこそ全体のバランスを想像しながら仕上げる必要がある。装着後に他の3本と並んだ瞬間、色味や質感の差が露呈してしまうからだ。単品ホイルの修理は、実は車両ごと預かるのとは別に、気を遣う作業だと言ってよい。 このホイルはデザインの構造上、光の当たる角度によって二色に塗り分けられているように見えるマット仕様だった。単純な単色マットであれば再現は難しくないが、角度によって表情が変わる塗装は、面ごとの反射率まで揃えなければ違和感が残る。見た目の印象を左右する要素が一つ増えるということである。
深い損傷と複雑な形状が突きつけた課題
今回の損傷はかなり深く、単純な補修材の盛り付けでは形状を追いきれなかった。加えてホイルのデザイン自体が複雑で、面の切り替わりが多い。これらが重なった結果、下地材料の選定と施工方法そのものを見直す必要が生じた。損傷の深さと形状の複雑さは、想定より多くの手間を要求してくる典型的な組み合わせである。 同様の症状を持つオーナーに伝えたいのは、深い損傷ほど下地の選び方が仕上がりを決めるという点だ。単品ホイルであっても、下地の工程を省略すれば表面の平滑さは必ず崩れる。ここで妥協すると、塗装後の艶や質感に段差として残ってしまう。だからこそFOURSIDEでは損傷の深さに応じて材料と工法を都度組み立て直している。- ホイール修理(マット、2色仕上げ)
- タイヤ脱着組立

マットクリアの選択が仕上がりを分ける
マット塗装は艶の有無だけでなく、質感の変化そのものが品質を大きく左右する。FOURSIDEでは一種類の塗料に頼らず、複数の塗料メーカーのマットクリアを使い分けている。単品ホイルの修理であっても、純正の質感にどれだけ近づけるかが評価の分かれ目になるからだ。 今回はマットの割合とベストな材料の組み合わせを、経験豊富なスタッフが判断して選定した。角度で二色に見える塗り分けを崩さないためには、単なる色合わせではなく質感の再現性が問われる。単品ホイル1本の修理でも、この工程を丁寧に踏むことで純正相当の見え方に仕上がる。 タイヤの脱着組立も同時に行い、装着した状態での最終確認まで含めて作業を完結させた。単品ホイルの修理を検討しているオーナーには、損傷の深さと塗装構造の両方を見極めてくれる工房を選ぶことをお勧めしたい。それが結果として、長く納得できる一本につながっていく。
