

コンパクトな車体に凝縮された狼の遺伝子
アウディ S1は全長4mに満たぬボディに231馬力の2.0Lターボを詰め込み、フルタイム4WD「クワトロ」で駆動する。WRCを制した「Audi Sport quattro S1」の魂を、コンパクトカーの器に注ぎ込んだ稀有な存在である。 ベースのA1と同じ端正なスタイリングをまといながら、4本出しマフラーや専用エアロ、大径アルミホイールが静かに主張する。威圧せず、しかし本気を隠さない。そこにS1を選ぶ者の美意識が表れる。
2色仕上げのホイール、その難所
今回のホイール修理は2色展開の塗り分けが要となった。塗料が硬化するタイミングを見極めながら工程を組み立てなければ、境界線が濁り、S1本来の精悍さを損なう。 アウディ S1のホイールは単なる足回りの部品ではなく、羊の皮の下に潜む狼の輪郭そのものだ。だからこそ、色の境目一本にも妥協は許されないと考え、硬化時間を見計らいながら丁寧にブラシを進めた。
外したついでに見えてくるもの
ホイールを外す作業は、普段は目にできないキャリパー周りを確認する好機でもある。今回はサービスとしてキャリパーの清掃も行い、ブレーキダストや汚れを丁寧に落とした。 6速マニュアルを操り、機械と対話しながら走るアウディ S1のオーナーにとって、足回りの清潔さは操る楽しさに直結する。見えない部分への配慮こそ、価値を守る整備の本質である。
