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2026.03.06STAFF
「あいつが光れば、俺も光る」鉄板に刻む、四人の絆と10年後の約束。 村田 京介|BODY REPAIR(板金)
■ 「見捨てられない」という、逃げ場のない信頼
「最後はお互い、助け合うよなって感覚。それはやっぱり、同級生ならではの逃げられない関係性かもしれませんね」
村田京介は、そう言って少し照れくさそうに笑う。代表の廣澤、GMの山田、そしてメカニックの川口。FOURSIDEの屋台骨を支える4人は、専門学校時代からの同級生だ。20代の青臭い時期から互いの手の内を知り尽くしている。だからこそ、仕事に妥協は許されない。
「あいつらにだけは、中途半端な姿は見せられない」という緊張感と、「あいつが困っていたら最後は俺がやる」という安心感。その絶妙なバランスが、FOURSIDEの現場に独特の熱量を生んでいる。
■ 職人の「ゾーン」:整ったと感じる、自分だけの瞬間
板金の世界は、ミリ単位の歪みが仕上がりを左右する過酷な現場だ。映像クリエイターの平田が「狂気の細部」と驚いたその仕事ぶりは、村田自身の性格に根ざしている。
「自分自身、生活する上でも細かいところが気になる性格なんです。自分がこうやってもらえたら嬉しいな、と思えるところまでやり切る。基準は常に自分の中にあります」
作業に没頭していると、手の感覚を超えて「直った」と確信する瞬間が訪れるという。 「アスリートでいう『ゾーン』みたいなものですかね。一気に空気が整うような、自分だけの瞬間があるんです」
■ 縁の下の力持ち。「ひろみ」への信頼
村田が叩き上げたボディは、次に盟友・山田(GM)の手によって塗装される。村田は自らのポジションを「縁の下の力持ち」だと語る。
「ひろみ(山田)が光れば、自分も光ると思っているんです。あいつの塗装が最高に輝くために、俺が下地で何ができるか。生活に落とし込んでも、自分にはそのポジションが合っている気がします」
互いを下の名前で呼び合い、背中を預け合う。板金と塗装という、職人同士の究極の共犯関係がそこにはある。
■ 10年後のオーナーに贈る、技術の誠実さ
村田の哲学は、単に「今」を綺麗にすることだけではない。彼の視線は10年後を見据えている。
「たとえ鉄板だけで完璧に直すのが板金の高精度だとしても、研ぎまくって鉄板が薄くなりすぎてしまったら、次に事故をした時に直せなくなるかもしれない。だからこそ、あえてパテを適切に使い、鉄板の厚みを守る。次に修理が必要になった時、職人が手を下せる余地を残しておくんです」
それは、車がこの先も走り続けることを願う、村田なりの深い愛情だ。 鉄板を叩くその音は、10年後のオーナーへの、そして共に歩む戦友たちへの、揺るぎない誓いの音でもある。


