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2026.03.07STAFF
「0.1mmの境界線に、意志を宿す。」京都一の師から学び、未踏のカスタムへ挑む若きペインター。 矢野 葵|PAINTER APPRENTICE
■ 「私のやりたいことは、ここにある」という直感
手に職をつけたい。その一心で、矢野葵は前職でも塗装の見習いとして経験を積んでいた。しかし、日々繰り返される作業の中で、彼女の心にはある「違和感」が芽生えていた。 「自分が本当にやりたい塗装は、これなのだろうか。そんな時、FOURSIDEのカスタムや、多様な挑戦を続ける姿を知りました。直感的に『私のやりたいことはこれだ』と思ったんです」
安定した既存のやり方ではなく、一台ごとに正解が異なる「仕立て」の世界へ。27歳の決断が、彼女を上賀茂のガレージへと導いた。
■ 師匠・山田紘三の背中。一瞬で色を解く「魔法」
現在、矢野は「京都一のペインター」と称される山田(ひろみ)GMの直下で、その技術を吸収している。最も近くで師匠の仕事を見ていて、彼女が言葉を失う瞬間がある。 「全てにおいて凄いのですが、一番は『調色(色の掛け合わせ)』です。どんなに難しい色でも、山田お師匠様は驚くほど短時間で作り上げてしまう。その背中を見るたびに、本物の凄みを感じます」
■ マスキング。遅さの中に込める「丁寧さ」という矜持
FOURSIDEの哲学「Automotive Couture(自動車の仕立て)」において、塗装は最も視覚に訴えかける工程だ。まだ見習いの段階にある矢野は、自分の現在地を冷静に見つめ、一つの誓いを立てている。 「今はまだ、何もできなくて、何をしても遅い。でも、その中でも『マスキング』だけは、誰よりも丁寧に、確実にやっていこうと決めています。基礎を疎かにせず、お師匠様から多くのことを学んでいきたい」
ライン一本、0.1mmのズレも許さない丁寧な養生。その地道な積み重ねこそが、FOURSIDEのクオリティを支える土台となる。
■ 「個」が強いからこそ生まれる、心地よいチームワーク
廣澤代表をはじめ、一線級のプロフェッショナルが揃う現場。最年少に近い立場の彼女から見て、このチームは「刺激的な学び場」だという。 「皆さん若いのに、それぞれが圧倒的な自分の強みを持っている。だからこそ、面白いアイデアが次々と生まれるし、チームワークもいい意味で刺激的です。この環境で揉まれることが、何より面白いと感じます」
■ 塗装も、造形も。すべてを任される職人へ
矢野が描く未来の自分は、単なるペインターの枠に収まらない。 「いつかは塗装だけでなく、オリジナルパーツの製作からカスタムまで、すべてを一人で任せてもらえるような職人になりたい。どんな難しいオーダーでも『矢野なら大丈夫』と言ってもらえるように、今はただ、目の前の一台に魂を宿していきたいです」

