PPFの下に隠れた色、マセラティ・グラントゥーリズモ最終形の調色記

マセラティ|板金塗装|京都
PPFを纏ったマセラティの右リアフェンダーとバンパーを補修する時、本当の難題は板金でも塗装でもなく「見えない色」を探し当てることにあった。
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PPFの下に眠る本当の塗色という盲点

今回入庫したのは、初代グラントゥーリズモ(M145)の集大成であるGranTurismo MC Finalだ。フェラーリ由来の4.7L自然吸気V8を積む最後の世代であり、ピニンファリーナが描いたラインを最終形として完成させた一台である。右リアフェンダーの板金とリアバンパーの脱着・分解、そして再塗装が今回の中心作業となった。 ここで見過ごせないのが、この車両が新車時からマットPPFで保護されていたという事実である。マセラティ本来のボディカラーは、PPFという膜一枚を隔てた奥に隠れている。単純に「見えている色」を基準に調色すれば、それは実車の色ではなくPPF越しの色を再現するに過ぎない。同じ症状──PPF施工車の補修──を抱えるオーナーが必ず直面する落とし穴が、まさにここにあった。
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塗ってから完成するのではなく、貼ってから完成するという逆算

今回の塗装作業における調色作業の難しさは二重構造にあった。一つは車両本体の下地色が不明であること。もう一つは、塗り上がったバンパーに最終的にPPFを再度貼付して初めて車両が完成するという工程の順序である。塗装した瞬間の色合わせでは意味がなく、PPFを貼った後の見え方を逆算して調色しなければならない。 この逆算の感覚こそが、経験のない現場では破綻しやすいポイントである。実際、今回も一度の調色で決着はつかず、何度も試し貼りと微調整を繰り返した。PPF施工車の補修を検討するオーナーには、業者選定の際に「PPF越しの色を想定した調色経験があるか」を確認することを強くすすめたい。
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マセラティの美意識を次の一台へつなぐ仕上げ

最終的な仕上げでは、リアバンパーとインナーライナーRH、各種ワッシャーやクリップ、ネジ類まで細部を新品に置き換え、ビス類も適材適所で使用した。さらに補修後のバンパー全面にマットPPFを施工し、リア左右のダクトにはカーボンラッピングを新たに施している。
  • リアバンパー脱着・分解・交換一式
  • 右リアフェンダー板金・塗装費用一式
  • マットPPF再施工
  • リア左右ダクトのカーボンラッピング
長年培ってきた経験と感覚を頼りに、見えない色を追い続けた末の仕上がりである。マセラティというブランドが積み重ねてきた美意識を損なわず、次のオーナーの時間へとつなぐこと。それこそが、今回の調色作業に込めた本質だったと言える。
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