

見えない傷が語る、オーナーの距離感
今回入庫したアウディ S5カブリオレは、登録9年目を迎える一台である。持ち込まれた損傷箇所は、正直に言えば写真では伝わりにくいほど微細なものだった。フロントバンパーの色割れとボンネットの飛石傷。事故でも粗雑な扱いでもない。高速道路を含む日常の足として、この車をきちんと動かしてきた人の車であることが、傷の付き方からうかがえた。 派手な損傷であれば話は簡単だ。だがこの車の傷は、こまめに車体を見ているオーナーだからこそ気づける類のものだった。会話を重ねる中で見えてきたのは、S5という「静かなる実力派」の性格そのままに、車を大事に、しかし遠慮なく走らせてきたという事実である。
デイトナグレーパールという難所
今回はフロントバンパーとボンネットの脱着分解、そして飛石・色割れの修理を行った。作業内容は以下の通りである。- フロントバンパー脱着分解、飛石・色割れ修理
- ボンネット飛石修理
- 脱着に伴う各部調整

これから先の距離のために
塗装を終えたアウディ S5カブリオレは、傷があったことすら忘れさせる仕上がりに戻った。だが今回の作業で得たものは、それだけではない。プロの目線で車両全体の状態とメンテナンス履歴を見極め、オーナーと今後のメンテナンススケジュールについて言葉を交わす時間を持てたことが大きい。 バウハウスの思想を受け継ぐクリーンなエクステリアも、クワトロが生む絶対的な安心感も、日々の手入れなしには成立しない。今回の修理は単発の作業ではなく、これから先も長く付き合っていくための、いわば節目である。次に会うときのS5の状態を、静かに楽しみにしている。











