フロア下のバッテリーが教えてくれたこと

スズキ|PZターボ|整備|京都
スズキ エブリイワゴン PZターボの車検整備で立ちはだかったのは、荷台フロア下という意外な場所に潜むバッテリーだった。カーペットをめくり、手探りで進めた作業の先に見えた一台の素性を記す。
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荷室の下に隠された設計思想

スズキ エブリイワゴン PZターボは2015年2月のフルモデルチェンジで3代目となった軽ワンボックスである。先代から実に10年ぶりの刷新で、高張力鋼板による軽量化や自動ブレーキといった、当時の最新技術が惜しみなく投入された一台だ。外観は先代の面影を残しながらもよりスポーティーに引き締まり、室内は荷室の拡大という実用面での進化を果たしている。今回入庫した車両も、その設計思想を色濃く受け継いでいた。 荷室拡大というこの世代の美点は、しかし整備の現場では別の顔を見せる。バッテリーが荷台のフロア下に格納されているのだ。荷室を広く使うための設計が、点検の動線を複雑にしている。エブリイワゴンという車の合理性は、使う人と整備する人とで見え方が変わる。そのことを、今回の作業は改めて教えてくれた。
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カーペットをめくった先の判断

バッテリー交換は本来、ボンネットを開けて数分で終わる作業である。だがこの車両では、まず荷室のカーペットをめくることから始まる。工具を差し込む角度、フロアパネルの外し方、一つひとつを確認しながら慎重に進めるため、通常より時間を要する作業となった。焦って進めれば内装を傷める。急がば回れの判断が求められる場面だ。 手間のかかる箇所だからこそ、周辺の劣化も見逃さず点検する。今回はガスケットの交換も合わせて実施し、オイルフィルターとエアコンフィルターも新品に入れ替えた。フロア下の作業で得た視界を、次の整備タイミングまで無駄にしないための判断である。難所は厄介であると同時に、車両全体を見渡す機会でもあった。
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足回りと視界、細部までの手当て

バッテリー以外の整備にも余念はない。エンジンオイルにはFUCHS SUPER GT 10W-30を選び、フロントとリア両方のワイパーブレードを新調した。雨天時の視界確保は安全性に直結する部分であり、妥協のできない項目である。左サイドステップは脱着した上で修理と再塗装を施し、見た目の印象も本来の姿へと戻した。 ETCセットアップと3年保証を含め、車検整備一式を仕上げたことで、スズキ エブリイワゴンは次の車検まで安心して乗り続けられる状態に整った。フロア下という見えない場所での丁寧な仕事が、結果として車全体の信頼性を底上げしている。目に映らない部分にこそ整備士の判断が宿ることを、この一台が静かに証明していた。
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