
低重心が生んだ代償と向き合う
現行プリウスの魅力は、全高を40mm下げ19インチの大径タイヤを履かせた低重心プロポーションにある。踏ん張り感のある佇まいは、裏を返せば下廻りが路面に近いということでもある。実際に点検すると、下廻りが何かにヒットした痕跡があり、擦れた部分から錆が出始めていた。第2世代TNGAプラットフォームが誇るボディ剛性も、錆の進行までは守ってくれない。デザインの代償を、整備の場で引き受ける必要があった。
広がる前に止める、という判断
錆は一度深く食い込むと、板金や部品交換という大きな話になる。今回はまだ表面的な擦れの範囲だったため、これ以上錆が広がらないよう下廻り全体に錆止めコーティングを施した。一目惚れするデザインを支える骨格を、見えない場所から守る作業である。プリウスの静粛性や高い操縦安定性は、こうした地味な下地の健全さの上に成り立っている。派手さはないが、価値を守るという意味では最も重要な工程だった。- 下廻り点検および防錆塗装(錆止めコーティング)
- オイル交換(FUCHS SUPER GT MC 0W-20使用)

2.0Lハイブリッドの心臓を整える
下廻りの処置と並行して、オイル交換にはFUCHS SUPER GT MC 0W-20を選んだ。従来の1.8Lから刷新された2.0Lハイブリッドシステムは、システム最高出力196psという力強さを持つ一方、その性能を発揮し続けるには適切な粘度と品質のオイルが欠かせない。トヨタセーフティセンスやE-Fourといった先進機能が支える走りの安心も、動力源そのものの健全さがあってこそ意味を持つ。所有する意味を支えるのは、常にこうした地味な積み重ねである。


