

トランクの奥に隠された小さな難所
2015年登録のこのプリウスαは、7年目を超えてキーバッテリーの交換時期を迎えていた。ところがこの車両、バッテリーの位置がトランク内側にあり、内装を一部外さねば手が届かない。手順を惜しんで力任せに進めれば、内張りの爪や留め具に無用な傷を残す。だからこそ丁寧に外し、丁寧に戻す。作業後、キーの反応が一瞬で戻る感覚に、地味な作業の確かさがある。 プリウスαは2列シートのZVW41Wで、リダクション機構付のTHS IIとCD値0.29の空力性能を誇る一台だ。静粛性の高いハイブリッドゆえ、車両接近通報装置も標準で備わっている。静かな車内だからこそ、ワイパーの擦れ音やブレーキの踏み応えといった小さな異変が、乗る人の耳と足裏にすぐ伝わってしまう。今回はその感覚のズレを一つひとつ丁寧に消していく作業となった。
オイルとブレーキ、手応えの部分から整える
エンジンオイルにはFUCHS SUPER GT MC 0W-20を選び、オイルフィルターとともに新調した。低粘度オイルの滑らかさは、アクセルを踏み込んだ瞬間の回転上昇にそのまま表れる。合わせてブレーキオイルも部品代を含めて交換し、ペダルを踏んだ際の踏力の奥行きを整えた。踏み始めの柔らかさと踏み込んだ先の確かな効きが噬み合うことで、初めて安心して減速に身を委ねられる。- エンジンオイル・フィルター交換(FUCHS SUPER GT MC 0W-20)
- ブレーキオイル交換
- 前後ワイパーゴム交換(フロント・リア)
- キーバッテリー交換
- 下廻り洗浄&防錆塗装

視界と光、仕上がりが物語るもの
前後のワイパーゴムも新品に替えた。フロントとリア、どちらも劣化したゴムは拭き残しの筋を残し、夜間の対向車のライトを歪めて見せる。交換後の一振りで、ガラスに水膜がすっと広がり、視界に迷いがなくなる。小さなパーツひとつが、雨の夜の運転の安心感を左右することを、この作業のたびに実感する。 保安基準に適う整備を一通り終え、マイナーパーツの交換も含めて仕上げたプリウスαは、次の二年を静かに走り抜ける準備を整えた。エンジン始動時の低い唸り、ブレーキを踏んだ時の手応え、ワイパーが描く一筋の視界。どれも派手さはないが、乗り手の五感に確かに届く仕事である。プリウスαという一台に、また新しい二年が始まる。



