

繰り返された損傷が語るもの
入庫したX3を見て、まず目を引いたのはリアバンパーの傷そのものよりも、その下に眠る過去の修復痕だった。同じ箇所を複数回当てているという事実は、運転の慣習なのか、駐車環境の問題なのか、いずれにせよ次もまた同じ場所を傷める可能性が高いことを示していた。修理とは、目の前の傷を消す作業であると同時に、これから起こるかもしれない出来事への備えでもある。 今回の作業範囲は、リアバンパーの修理に加え、リアバンパーロア、そしてリアバンパーのリフレクターカバーにまで及んだ。リアバンパー脱着・分解を経て、塗装はマイナーパーツを含めた広い範囲で行っている。損傷は一箇所に留まらず、周辺のパーツにまで影響が及んでいたことが、現場で外して初めて見えてきた事実だった。
握離という手間を惜しまない理由
作業で最も神経を使ったのは、前回修理時の下地処理をどう扱うかという点である。同箇所の修復歴がある車両は、以前の下地が残ったまま重ね塗りされていることが多く、そのまま作業を進めればブラインドスポットセンサーの検知精度に影響を及ぼしかねない。今回は前修理の下地を丁寧に握離し、素材そのものの状態から修復をやり直すという選択をした。急がば回れの判断である。 もう一つ、こだわったのが素材を削りすぎないという一点だ。複数回同じ箇所を当てている車両は、次の修理も現実的に想定しておく必要がある。削れば削るほど素材の厚みは失われ、次に何かがあったときの修復代が狭まってしまう。今回の作業では、必要な範囲だけを見極めて削り、余力を残す仕上げを徹底した。同じ症状に悩むオーナーにとって、この視点は覚えておいて損はないはずである。
塊としての佇まいを取り戻す
X3という車は、面構成そのものが意匠の核心を成している。従来のキャラクターラインに頼らず、一枚岩のような滑らかな面で塊感を表現する現行デザインにおいて、リアバンパーの傷はその佇まいを損なう小さくない要素だった。塗装によって面のつながりを取り戻すことは、単なる修復以上に、この車が纏う彫刻的な美学を守る作業でもある。- リアバンパー修理
- リアバンパーロア修理
- リアバンパーリフレクターカバー修理
- リアバンパー脱着・分解






