ホンダ N BOXの足元に潜んでいたのは、ただの汚れではなかった。タイヤローテーションの前に立ちはだかったハブの錆着を、京都上賀茂の作業台でどう捌いたかを記す。
ホイールが動かない、という小さな異変
N BOXを預かり、まず取り掛かったのはタイヤの前後ローテーションである。ジャッキアップしてホイールを外そうとした瞬間、指先に伝わったのは違和感だった。ホイールがハブに固着し、簡単には抜けない。よくある光景ではあるが、これを軽く見て力任せに引けば、最悪ハブボルトを痛める。まずは状況を見極めることから始めた。
軽自動車特有の細いボルトとハブ構造は、実はこの固着に弱い。無理な脱着はナックル側の精度にも影響しかねない。ここで焦って作業を進めるか、一度手を止めて原因を潰すか。この判断が、後の仕上がりを大きく左右することは経験上わかっていた。
足元を整えたのち、本題であるオイル交換に取り掛かった。使用したのはFUCHS SUPER GT MC 0W-20である。N BOXに搭載されるS07B型エンジンの特性を踏まえ、低温時の始動性と燃費性能を両立させる粘度を選んだ。フィルターとガスケットも同時に新調し、油膜切れの不安を残さない状態に仕上げた。