

フロントミッドシップが求める足元の佇まい
カリフォルニアはフェラーリの中でも異色のGTだ。フロントミッドシップのV8エンジンとリアトランスアクスル方式により、重量配分と運動性能を高い次元で両立させている。だからこそ足元のホイールは単なる装飾ではなく、走りの思想を支える部品として存在する。傷のある足元では、その設計思想が台無しになってしまう。 今回持ち込まれたのは4本すべてに損傷のあるホイールだった。縁石との接触によるものか、表面には深さの異なる傷が複数走っていた。カルフォルニアという車の性格を踏まえれば、見た目の美しさと同時に、転がったときの回転バランスにまで響く仕事が求められる。
研削とパテが導く「面のつながり」
修理はまず傷をできるだけ平らに研削することから始まる。だが削りすぎれば形が崩れ、削り足りなければ傷が残る。その塩梅を見極めながら、自然な曲面に戻すことが最初の難所だった。深い傷にはパテを使い、周囲の面とつながるように成形していく。 こだわったのは、補修箇所だけが浮いて見えないことである。指でなぞっても段差を感じさせない、見た目にも継ぎ目のわからない一体感を目指した。ホイールは常に光を受けて動く部品だ。わずかな凹凸も光の反射で露わになる。だからこそ面のつながりに神経を使った。
シルバーが映す、下地の正直さ
カルフォルニアの足元を飾るシルバー系の塗色は、下地の粗さをごまかせない塗色でもある。研磨跡やペーパー目がわずかでも残れば、塗装後にそのまま浮き上がって見えてしまう。今回はサフェーサー後の下地処理において、ペーパーの番手を2500番まで上げて仕上げた。- 傷を研削し自然な曲面へ成形
- 深い傷はパテで面を作り込む
- サフ後の下地は2500番まで研磨


