アルピナ B5 ホイール・ボンネット修理 ― 静かな哲学をまとう車体に刻まれた時間

B5|板金塗装|京都
控えめな美学の裏に怪物級のパワートレインを隠し持つB5。その静かな佇まいの奥で、日々の走行が残した小さな傷跡と向き合った修理の記録である。
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アウトバーン・エクスプレスが背負ってきたもの

アルピナ B5という車は、そもそも目立つことを望んでいない。エレガントなセダンの姿を保ちながら、時速300km/hの領域まで駆け上がる牽引力を秘めている。今回持ち込まれた個体もまさにその通りで、外観からは想像できないほどの距離を、快適に、そして高速に走り抜いてきた形跡があった。 ボンネットに散った飛び石の跡は、その走行履歴を静かに物語っていた。アウトバーンを模した速度域で長距離を移動する車である以上、前面には常に微細な礫が飛来する。ホイールの傷もまた、大径ホイールで荒れた路面をいなし続けてきた証だった。派手な事故ではなく、日常の積み重ねが残した痕跡である。
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3コートパールという難所とホイールの内側

ボンネットは大きなパネルであり、しかも3コートパールという塗装である。外気温が高く塗装が荒れやすい季節と、大面積かつ複雑な発色構成という二つの条件が重なる、決して容易ではない作業だった。過去の施工データを照らし合わせながら材料を選び抜き、色と質感を狂いなく合わせ込んだ。 ホイールは3本の修理を行った。単に歪みや傷を直すだけでなく、脱着の際にブレーキキャリパーの清掃まで手を入れている。見える部分だけを整えて終わりにしないのが、この工房のやり方である。ホイールを外すその瞬間こそ、普段は目に入らない部分にまで意識を向ける好機だと考えている。
B5|板金塗装|京都

日常を支える静かな仕上がり

B5の魅力は、大人のための力強さを日常の中に溶け込ませている点にある。今回の修理もまた、その日常を違和感なく支えるために行った。ボンネットの発色は周囲のパネルと寸分違わず馴染み、ホイールはキャリパー周りまで清々しい状態に整った。 派手な変化を求める作業ではない。むしろ何も変わっていないように見えることこそが、この仕上がりの価値である。B5がこれからも静かに、そして力強く、シルキーな加速を届け続けられるよう、細部にまで手をかけた一台である。
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