

カラーコード085が突きつけた課題
持ち込まれたレクサス LBXのフロントバンパーには、駐車時にできたとみられる擦過傷があった。深刻な損傷ではないが、放置すれば下地の腐食につながる部位である。問題はキズそのものより塗装色にあった。カラーコード085、ソニッククォーツは、パール感がかなり強い色味である。光の角度によって表情を変えるこの手の塗装は、部分補修と全塗装の境目をいかに馴染ませるかで仕上がりの質が決まる。 LBXが掲げる「Premium Casual」という思想は、見た目の作り込みだけでなく、質感の一貫性にも表れている。だからこそ、補修跡が周囲から浮いてしまっては本末転倒だ。パール粒子の反射角を読み違えれば、晴天の下で色差が露呈する。同じ悩みを抱えるオーナーには、まず自車の塗装がパール系かソリッド系かを把握しておくことを勧めたい。判断材料が変わってくる。
ぼかし塗装という選択と予算の現実
今回採用したのはぼかし塗装である。損傷部だけを塗るのではなく、隣接パネルとの境界を徐々に色を薄めながら重ね、視覚的な段差をなくす技法だ。パール感が強いソニッククォーツでは、このぼかしの範囲と回数の見極めが最大の難所となった。狭すぎれば境目が残り、広すぎれば作業範囲が膨らみ費用もかさむ。バランスを取る判断力が問われる工程である。 もう一つ大切にしたのは、お客様の予算感に寄り添う提案だ。全面塗装まで踏み込む選択肢もあったが、今回は損傷の程度と予算を照らし合わせ、部分補修とぼかし塗装の組み合わせで最良の仕上がりを目指す方針に決めた。LBXのオーナーの中には、コンパクトゆえに維持費も抑えたいという声が多い。理想を追うだけでなく、現実的な落としどころを一緒に探る姿勢が結果的に満足度を高める。
仕上がりが語る、日常に寄り添う修理のかたち
作業を終えたバンパーは、光を斜めから当てても違和感がない。パール粒子の粒立ちと角度がフェンダー側と揃い、境界線がどこにあるのか分からないほどに馴染んでいる。LBXが持つ「気負わない相棒」というキャラクターにふさわしい、さりげない仕上がりだと言える。過度に主張しない補修こそ、日常の相棒に求められる完成度である。 同じようなキズに悩むオーナーに伝えたいのは、パール系のカラーほど「どこまで直すか」の判断が仕上がりを左右するという事実である。全塗装ありきで考えず、まず現状と予算を工房に相談してみてほしい。ソニッククォーツのような色にこだわりのある車種ほど、その一手間が満足度の差になって表れる。





